第1時 水の状態変化と、電気分解の様子の比較
水が加熱によって気体になっている様子(状態変化)と、水が電気分解によって気体になっている様子(化学変化)の観察から、「水に電流を流したとき、状態変化が起こっているのか」という課題を設定しました。「状態変化ではない」という考えが多く、その検証方法を考えたところ、「集まった気体を冷やして水に戻ればよい」という考えが出ました。冷やしても水に戻らない(別の物質になっている)ことから「状態変化ではない(化学変化である)」ことをおさえ、「(水に電流を流したとき、)状態変化ではないならどんな化学変化が起こっているのか」という課題を設定し、第2時へつなげました。また、この時間では状態変化の復習や、水を確かめる塩化コバルト紙についても扱いました。
第2、3時 水の電気分解
水に電流を流したとき(電気分解)の変化について探究しました。「水→水素十酸素」が確認できたところで、状態変化における粒子の様子の変化と、水の電気分解における粒子の様子の変化について、生徒なりのモデル図を描きました(図1)。粒子の大きさや形、粒子の分割などをイメージしながらモデル図を描く生徒が認められました。
第4、5時 水の電気分解の様子を粒子モデルで表す(原子・分子と化学式・化学反応式を含む)
第3時で描いたモデル図より、「粒子はどこまで分割できるのか」という考えのもと、「原子・分子」を扱いました。原子・分子や化学式を扱った後、「水の電気分解の様子を、原子・分子で表すとどうなるか」という課題に取り組みました。電気分解の実験時における気体の発生量の違いをふまえたり、変化の前後の原子の数を意識したりしながら図を描く生徒が認められ(図2)、化学反応式の概念を導入することができました。
第6時以降 酸化銀の熱分解、炭酸水素ナトリウムの熱分解
探究で仮説を立てる際、「状態変化しているのか」「もとの化学式から考えて、どんな物質ができているのか」という視点を意識させながら進めていきました。この2つの視点をもつことで、もとの物質との性質の違いや、物質を構成する原子に着目するなど、質的・実体的な見方を働かせて探究を進める生徒が認められました。
執筆:藤原(理科サークル「SCIENTIA」)
この記事の問い合わせ先:高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)
この記事は、「科教協静岡ニュース」(2024.3)に、「Serendipity」(2023.5)から引用して掲載。