河岸段丘は、昔の川が流れていたときの河原の跡が残ったものです。土地が隆起したり、海退(海面低下が起こったりして海岸線が沖側に移ること)が起こったため、河川の侵食作用が強くなり元の河原に谷ができて、段のある地形になります。逆に、土地の沈降や海進(海面上昇が起こったりして海岸線が陸側に移ること)が起こると、河川の堆積作用が強くなり谷に河原が広がります。こうした作用が繰り返し起こると、川の両側(または片側)に段がいくつかある地形ができますが、段丘面が高い面ほど古い時代に形成されたとわかります。現在の河原が最も新しく形成されていることになります。
安倍川では、大谷崩の山体崩壊(例えば1707年の宝永地震に伴うもの)などで、下流の河原は多量の土砂で埋まったため、住民は川沿いの低地に住めなくなって、河岸段丘上に移り住んだとも言われています。
松野(静岡市葵区)の河岸段丘 (河口より約18km付近の西岸)
安倍川東岸の県道27号線(安倍街道)より撮影
(上の写真のみ172KB)
曙橋より(中央~左側、右側、左側手前と3つの段丘面がある)
段丘の崖
崖には、角が丸くなった礫(河原の石)が見られることから、昔の河原の跡とわかる。そのため水はけがよいので、段丘上の農業は茶畑等の畑が適している。
安倍川の全体的な記事 → 「写真で見る安倍川の姿」
文責:長谷川静夫(科学教育研究協議会静岡) 2019.3.1に文章を修正 skrc@sf.tokai.or.jp