現在の内容は、Ver.6.2(2021.10.21 河床縦断面図の枠外を訂正)です。
静岡市を流れる安倍川は、流路の長さ(幹川流路延長)が51kmと一級河川の中では短いですが、この流路の分水嶺(大谷嶺)の標高は2000mと高いため、全体的に河床勾配が大きい日本でも屈指の急流河川です。そのため、下流に多量の土砂を運搬、堆積して、河口付近では扇状地性の平野(静岡平野)を形成し、また、近くの海岸に砂嘴(さし:三保半島)を作りました。
(1)安倍川の上流・中流・下流
川の学習に活用するような写真を用意しました。
(この項目の写真のみ、各々約200KB程度)
安倍川は、日本の一級河川では屈指の急流です。特に下流のようすは、水量が少ないことや堆積物が大きいことなどから、これが川の下流の姿かと不思議な感じがするほどのもので、かなり特別です。
写真で河原のようす、特に石の大きさ(写真中の長さ30cmの定規で比較)や、石の角のようす、土砂の堆積、周囲の景色、川の水量などから、上流・中流・下流が推定できます。
こうした写真を授業の中でクイズ形式にして活用する方法を、塩澤康人さん(静岡市)に教わりました。
(2)上流の姿
梅ヶ島温泉から安倍峠へ:深いV字谷が刻まれています。
大谷崩(おおやくずれ):上流の1つの谷の源流部で、標高約1200m。1707年の宝永地震で大きな山体崩壊が起こったため、下流は甚大な被害を被ったと言われています。(ここまで車で行けます)
詳しい内容 → 「写真で見る安倍川の上流」
(3)ダムのない川
安倍川は急流で侵食・運搬作用が大きいため、水力発電や農業用のダムが造れない、大きな河川の中では珍しいものです。逆に、大きな砂防ダムはいくつかあって、土砂の急激な流出を防いでいます。
大河内砂防ダム(有東木地区)
詳しい内容 → 「写真で見るダムのない川・安倍川」
(4)河岸段丘
昔の川が流れていたときの河原の跡が残ったもの。河川の侵食作用が強くなって、元の河原に谷ができたため、段々状の地形になります。
安倍川では、大谷崩の形成などで下流の河原が多量の土砂で埋まったため、住民は川沿いの低地に住めなくなって、河岸段丘上に移り住んだと言われています。
松野付近の河岸段丘(低~中位段丘)
詳しい内容 → 「写真で見る河岸段丘」
(5)中流の姿
河口からおよそ10km付近(静岡市葵区賤機南地区)で、川幅は約500mありますが、普段の水量は川筋が何本か見える程度の少なさです。雨が降ると川幅一杯になって流れますが、雨が少ないないときはこのようになります。
詳しい内容 → 「写真で見る安倍川の中流」
(6)河口の姿
急流のため河口付近でも通常(雨の時以外)は水量が多くありません。また、土砂の流出が多いためもあって、河口付近にたまっています。
詳しい内容 → 「写真で見る安倍川の河口」
使える写真があるようでしたら、学校での教材としては自由に使ってください。その際に連絡はいりません。サイズの大きい画像(1MB程度)が必要ならば、連絡をください。お送りできます。
文責:長谷川静夫(科学教育研究協議会静岡) skrc@sf.tokai.or.jp
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Webサイト 「しずおか河川ナビゲーション」(静岡県河川砂防局)には、安倍川に関する資料が掲載されています。 (トップページ → 中部の水系のページへ → 安倍川水系 → 川の紹介 )
[参考になる資料]「河川用語集~川のことば~」国土技術政策総合研究所
「日本の川」国土交通省 「河川のページ」静岡河川事務所
「古地理調査 狩野川・安倍川・大井川 川の流れと歴史のあゆみ」 国土地理院
他 フリー百科事典「ウィキペディア」 等