科教協静岡第15回「研修交流会」の講演の記録
講師:上久保廣信氏
(「地下からのサイン測ろうかい」副代表 浜松市立中学校講師)
上久保さんには「教師も楽しい」という立場で、教師として成長してきた経緯と実践を紹介していただきました。その講演での注目点を簡単にまとめます。
・教師も楽しい授業は、生徒も楽しいと言う。教師が趣味を持つ(自分の関心を持つ)ことが大切。
・教師がおもしろいと思えたこと(伝えたいこと)を、授業に取り入れる。 → 指導要領にどうあるかも意識する。 → 何を伝えたいかを考えて、指導計画を作る。
・ソーラーカーの製作とソーラーカーレースに参加した。 → 中学校の技術・家庭科の授業でソーラーカー模型を製作し、部活動でソーラーバイクレースに参加した。 → 太陽エネルギー、太陽電池の研究にも取り組む。
・教育実践の足跡(記録)として、生徒のノートをコピーして残す。
・授業では、ワークシートではなくノートに書かせる。
・ノートの(縦長で)横の2/3は授業の記録(科学者が調べたこと)、横に並べて1/3はメモ欄で自分で考えたこと、おやっと思ったことを書く。感想も必ず書く。
・おやっと思ったことを書くことで生徒は「科学者」になる。
・文章を書き写す、図を書き写す作業で、生徒の理解が定着する。
・イラストも書かせることで、生徒の感性が発揮される。
・生徒の感想をすぐ知りたいときには、プリントで提出させる。(ノートでは机の上が山になる)
・地震・火山の単元は、プレートの話がないと説明ができないので、プレートを先に取り上げる。
・南海トラフ地震に備える防災教育として、地盤の隆起・沈降を扱う。掛川に対する御前崎の地盤の沈降するスピードが、2020年頃からなぜ半分になったのか(参考:2月3日「静岡理科の会」の記録)。なぜかは分からない。生徒に言わせる(自分の考えを持たせる)。
・震源距離の計算などの難問は、時間をかけて説明する。
・教師も分からないことは「先生もわからない」と伝え、生徒とともに考える。「先生も考えてみる」と。
・1時間の授業の中で、区切りごとに「質問はありませんか」と聴く。手を上げる生徒は優秀な子だが、それが難しい話でも、他の子の理解も深まる。質問が出ないときは、理科委員を指名する。
【参加者の感想】
○ 授業の色々なアイディアを知ることができて勉強になりました。ノート指導についても色々悩んでいた部分があったので、3分割して書く方法を知ることができて良かったです。これから少しでも授業に生かせたらいいなと思います。こうして色々な理科の先生方と理科の話ができる機会があるといいなーと思います。
○ 上久保さんの話は教師としての使命感、やりがいにふれたもので、とても興味深く聞くことができました。教員になる人が少なく教師の待遇の低さがスポットを浴びる時代だからこそ、上久保さんの話は大切だと感じました。
○ 理科を学ぶことも教えることも楽しんでいる先生のお話をうかがうことは、私にとって良い栄養剤になっています。時間に追われ、授業をなかなか楽しめなくなっている現状ですが、やっぱり水中の微生物を発見したときなどの生徒のキラキラした目は、私にとって本当にうれしいものなのでこれからも”楽しむこと””学び続けること”を大切にしていきたいと思います。今日はありがとうございました。上久保先生の実践例もとても参考になりました。
(まとめ)科教協静岡 長谷川静夫 第15回「研修交流会」の内容 → <別に掲載の記事>
上久保さんが参加するNPO法人「地下からのサイン測ろうかい」は、各地で地下水の観測をするとともに、地震予知に取り組み、地震についての理解の普及に取り組む団体です。
→ 「地下からのサイン測ろうかい」参加記 HP 会と活動の紹介(浜松市民活動団体紹介サイト)