(1) 生成AIでつくる授業の概略
生成AIが気軽に使えるようになった。生成AIとは、大量の学習データをもとに、新しいコンテンツを生成するAIのことである。
ここでは、授業づくりにおいてどのように生成AIが活用できるかについて紹介する。
(2) いろいろな生成AI
・Copilot【コパイロット】 (Microsoft)
・Gemini【ジェミニ】 (Google)
・ChatGPT【チャットジーピーティー】(OpenAI)
(3) 教師の学びとしての生成AIの利用
生成AIに条件を入れて、質問する。ここでは「あなたは中学2年生です。植物と動物の違いは何ですかという問いに対しての考えを、箇条書きで4つ挙げて各々100字程度でまとめてください。」とした。
授業中の発問に対しての予想される答えを返答させた。
(以下は、Microsoft Edge画面の検索バー内右端にあるCopilotを選択して行った、質問と答である)
① 教材観・題材観の拡充の手がかり
もしも、動物と植物の違いが光合成の有無だけだと考えていた教師がいたとしたら、「細胞構造」や「運動能力」や「繁殖方法」についても包括した授業の必要性に気付くことができる。
② 参考文献の検索
Copilotでは、ネット上のリンクという形で参考文献が表示される。さらなる詳しい情報にダイレクトにたどりつくことができる。
(4) 授業のながれのたたき台としての生成AIの利用
授業の流れを表にしてもらうために次のようにたずねる。すると表にして返事をしてくれる。
(5) 生成AI利用の授業での注意点とコツ
生成AIの内容は確実に正しいものではない。そのため、表などは他人がつくったたたき台だとし、「事前研」のつもりで修正することが望ましい。
質問のコツとしては、「目的を説明する」「場面と役割を設定する」「回答の表現や出力方法を伝える」の3つである。
「研修交流会」の参加者は、AIのスピード感のある返答に驚き、授業づくりへの活用の可能性を感じていた。
執筆:高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)
この実践は、科教協静岡の第15回「研修交流会」にて紹介されたものです。
【参考】
授業づくりへの利用を前提として、生成AIを利用するのはあくまで教師である、ということが挙げられました。生徒に使わせるというのは、端的に言うと「ネタバレ」です。「授業の必要がなくなってしまう」という参加者の声もありました。さらに注意したいのは、同じ質問を入力しても、時によっては違う答えが返ってくるということです。 加えて、稀に虚偽の事柄を応答することもあるので、鵜呑みにしないことや、そのまま用いるべきではなく、私たちが吟味・熟考し適切に「料理」したうえで用いるべきだということを述べられました。
これは、普段教員同士で授業案について議論することと実質的に何ら変わりはなく、その最初の段階として生成AIを利用するというのは、スタートそのものの位置が従来よりも大き<リードした状態になります。全く完璧にコピーして使おうというのではありません。人間の可能性を最大限のままに、私たちの舵を取る手を少し支えてくれる、そう感じる提案でした。
(執筆:石橋 理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」No.100より)