吊り橋とは、本の主塔の間をわたるメインケーブルから垂らしたハンガーロープで橋げたを吊り、支える構造の橋です。 橋げたの重力と、 2本の主塔から張られたメインケーブルの張力がつり合つています(図1)。
2本の主塔は非常に高く、メインケーブルは中央付近で大きく下向きにたわんでいます。 このような構造にすることで、主塔にかかる力を小さくすることができるのです。今回、この構造をモデル化しながら力の合成・分解の仕組みを実感することができる授業を提案しました。
● 吊り橋のモデル
(1) 準備するもの
・ダークオーク平板ABS樹脂
(厚さ2.5mmX幅15mmX長さ1m)
・タコ糸 ・椅子や鉄製スタンド2台
(2) モデルのつくり方
ダークオーク平板の中央部分をタコ糸で吊り上げ、タコ糸の端は鉄製スタン ド等に結びつけます。
● 授業のようす
提案した授業の流れは右の図3です。実際の生徒の探究の一例を紹介します。
【生徒Aの探究の流れ】
① まず、三島ス力イウォークのモデルを作つてみよう。
② 椅子を主塔に見立てて、椅子が1個のときと椅子が2個の時とで主塔にかかる力が異なるのか調べよう。
③ ②の結果から、主塔が高い方が主塔にかかる力が小さくなるようだ。
④ 主塔が高<なることに伴って変化する条件は、糸の長さと、両糸の間の角度である。どちらが主塔にかかる力を小さくしている原因なのだろうか。
⑤ 糸の長さを変化させず、両糸の間の角度だけ変化させて、 主塔にかかる力が変化するか調べよう。
⑥ 両糸の間の角度を変化させず、糸の長さを変化させて、主塔にかかる力が変化するか調べよう。
⑦ ⑤、⑥の実験から、両糸の間の角度が小さくなるほど、主塔にかかる力が小さくなることがわかった。
「品り橋モデル」を用いた授業を行つた際には、授業の様子を教えていただけるとうれしいです。
執筆:高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)
この記事は、理科サークル「SCIENTIA」のニュースNo.91(2023.6.24)から転載しました。