2023年12月23日(土)に、静岡大学教育学部附属静岡中学校の理科室をお借りして実施しました。
この会は、科教協静岡の呼びかけに応えた、県内の理科教育研究グループ等(下記)に発表していただきました。参加者は約30名の盛会となって、県外からは大学生が参加されました。今回は初回ということで、各グループからの活動の紹介や実践例の発表があり、興味深い内容のお話が続きました。参加者には好評でした。また、会の中であった「大抽選会」は楽しい試みでした。
参加グループは、静岡大学教育学部附属静岡中学校、島田中学校、浜松中学校の教員、静岡STEAMフューチャースクール、静岡市理科同好会・静岡サイエンスミュージアム研究会、磐周理科同好会、SCIENTIA・S-lab.、科教協静岡です。
以下は各グループの発表概要です。文は科教協静岡の責任です。別記事の「詳細」を見てください。
Ⅰ 静岡大学教育学部附属静岡中学校
(1) 附属の授業紹介
①物理の授業で実践したピタゴラスイッチ ②化学分野で実践した謎の水溶液
(2) 地域での実践
①ペットボトルと牛乳パックでつくるヘッドフォン ②農園MIRUIFARMでの授業 ③ツリーハウスづくり ④宮のおもてなし(地域の科学実験) ⑤ふじ自主夜間学校(日本語を学びたい外国人と理科の実験) ⑥富士山キングダム構想(富士山の麓でWellBeingを実践)
詳細は、別記事の「静岡大学教育学部附属静岡中学校の実践紹介」で。
Ⅱ 静岡大学教育学部附属島田中学校
本校は「地域教育実践センター」として、地域の学校や先生方への貢献を軸とした研究活動を行なっています。今年度から「問いを見出す授業過程」をテーマに研究活動を行なっています。
01 学校紹介 教育研究/教育実習/教員研修(公立校の一歩前を進み、地域の先生方に貢献)
02 理科部の研究 令和5年度の研究テーマ 「問いを見出す授業過程~主体的に学習に取り組む態度の育成をめざして~」
03 実践紹介 「この図から、ヒトの進化についてどのようなことが言えるだろうか?」
生徒の中から生まれた問い「なぜ、現在はホモ・サピエンスだけが生き残っているのか?」
検証することが難しい場合‥‥「絶対解」でなく現在の仮説を組み合わせた「納得解」を得ることが大切。単元で学んだ知識(自然淘汰や遺伝子の変化)を基本とし、提示された複数の仮説を吟味、取捨選択して自分たちなりの「納得解」を生み出した。
04 フィールドワーク 「附属島田中学研究部公式LINEアカウント」から
Ⅲ 静岡大学教育学部附属浜松中学校
本校では、R5年度研究主題を「よりよい未来を創造する子どもの育成」とし、昨年度は5年間研究の3年次として,研究副題を「めざす子ども像に向かう資質・能力を育成するため小中一貫教科カリキュラムモデルの提案」とし,小中一貫で育成をめざす子ども像に向かう資質・能力を育成するカリキュラムモデルを提案しました。
この共通テーマを小中9年間の学びの系統性を踏まえ、小中一貫教科カリキュラムにまとめました。
詳細は、別記事の「静岡大学教育学部附属浜松中学校の紹介」で。
Ⅳ 静岡STEAMフューチャースクール
静岡大学「静岡STEAMフューチャースクール」では、JSTの採択を受け県内5カ所(沼津・静岡・焼津・藤枝・浜松)で基礎講座を展開しており、4つのSTAGEを設け、午前(10:00~12:00)はSTEAMプログラム、午後(13:00~15:00)は科学的探究活動(自由研究)の個別指導等に重点を置き、その育成に尽力している。子ども達の参加費は、無料である。
そこで是非、先生方に参画して頂きたいし、先生方が目の前にしている子ども達の理科好きな子ども達を発掘して、送り込んで頂きたいと考えている。
詳細は、別の記事の「静岡STEAMフューチャースクールの紹介」で。
Ⅴ 静岡市理科同好会 静岡サイエンスミュージアム研究会
この二つの会は、静岡市を中心として、ほぼ同じ会員が活動しています。静岡市理科同好会は学校の授業作りを、静岡サイエンスミュージアム研究会は学校外の科学教育を担っています。それぞれでの学びを共有しながら、より良い理科教育の在り方を探っています。
小学校第5学年「流れる水のはたらき」について紹介しました。大地の時間的 ・空間的な変化を、理科室で模擬的にとらえる実践です。小6「大地のつくりと変化」中学の「大地の成り立ちと変化」での単元でも活用できます。
(1)パズルを使った焦点化、(2)小さく丸みをもった石、(3)流れる水の量とそのはたらきの関係を調べる
詳細は、別の記事の「静岡理科同好会・静岡サイエンスミュージアム研究会と実践の紹介」で。
Ⅵ 磐周理科同好会
磐周理科同好会は、磐周地区を中心に活動している理科サークルです。小中学校の理科の実践報告や、日々の授業のお悩み相談を定期的に行っています。小学校と中学校の実践の交流で、より理科の世界を味わえるサークルだと感じます。
01 金属の状態変化
小学校「ものの性質」という複合単元の実践で、融点の低い合金を使った授業実践の紹介がありました。また、金属の展性について観察もしたそうです。説明豊かな物質観がみられたそうです。
02 マグネシウムで小中をつなぐ
マグネシウムは溶けるのかという問いを見いだし、マグネシウムを塩酸に溶かし、蒸発させたあとに残る残留物がマグネシウムか確認する実験を行いました。小学校の学びとのつながりを考え、授業を組み立ててみました。
詳細は、別の記事の「磐周理科同好会の取り組み」で。
Ⅶ SCIENTIA
SCIENTIA(スキエンティア)は、藤枝市を中心に行っている理科教育のサークルです。毎月一回の定例会で、授業づくりなど教育について語り合っています。「理科で人とつながる」サークルを目指しています。今回は、過去にSCIENTIAで紹介された教材を紹介しました。
● アンダイヤル日時計
アンダイヤル日時計とは日光を当てると、文字盤の影が時刻をあらわすインテリアです(図1)。凸レンズのはたらきに展開できる、おもしろい教材です。
● ケイ素-シリコンメタル-
金属光沢はありますが、電気伝導性が小さく、たたくと粉砕する特徴があります。つまり、金属的な見た目であるにも関わらず、金属ではないという物質なのです。この特徴を利用して、金属の性質を学ぶことができるため、紹介をしました。
詳細は、別の記事の「SCIENTIAの教材の紹介」で。
Ⅷ 科教協静岡
「科学教育研究協議会(科教協)静岡支部」ですが、科教協(全国)会員でない県内のみなさんも含めたグループとして活動しています。小学校・中学校・高校・大学の教員や退職者も加わっています。
今回紹介する実践は、地域を歩き気づいたことです。安倍川と巴川の間にある山(賤機山)から両側の川を見ると、安倍川の標高に比べ巴川の標高が50m近く低いことが始まりです。巴川の上流近くの標高が低いということもあります。これらのことは、天下の荒れ川と言ってもよい(河床勾配が急で、土砂の運搬量が多いためダムも造れない)安倍川と、縄文海進時には内湾だったところを現在流れる巴川の違いに由来しています。そこで、この2つの河川とそれが作った平野の違いについて教材化しました。山脈が隆起していることは学んだかもしれないが、身近な地形である平野も過去からずっとそのままの形で存在するのではないことです。 関連記事 → 「写真とともに考える静岡平野・清水平野」
Ⅸ 大抽選会への出品物 (持ち寄られたものが抽選で参加者に配布されました)
手作りピッカリテスター(イオン検出実験装置)/小学校電磁気分野の手作り実験セット/過熱水蒸気発生装置用銅管/プリズムの立体めがね/不思議な凸レンズ効果の実験セット/不思議な目の錯覚実験セット/シーラカンス魚拓の実物大印刷の布/1億分の1地球儀/1千万分の1地球儀模型用のゴム風船/鮫島海岸のガーネットサンド/相良油田の原油/大きな水晶の結晶/巨大松ぼっくり/水に沈む木
Ⅹ 冊子「きくがわ科学少年団のあゆみ-地域における独自の科学教育をめざして-」の紹介
少年団の活動の14年間の記録で、A4版で146ページに多数の実践例・実験紹介資料を含む冊子。
少年団の呼びかけ 「スポーツ少年団のような、こどものための地域組織です。月1回専門の講師の指導のもとで、いろいろな科学実験をやったり、いろいろなものを自分でこしらえる科学工作をしたり、野山に自然観察にでかけたり、夜に星の観察をやったり、科学の博物館に見学に行ったり‥‥そのほかにもおもしろくて楽しいことをいっぱい計画しています。」で発足しました。
[実践資料]花の色が変わった-酸性とアルカリ性の科学/ラムネをつくる-すっぱい科学/たこはなぜ飛ぶか-飛行の科学/まさつの科学-空気にのれるか/原子分子の世界/あめんぼうはおぼれるか-表面張力の世界/石灰石の科学-原子の保存性をめぐって/電気でパンを焼いてみよう-イオンの勉強/おさとうと二酸化炭素の科学-カルメ焼きづくり/電池の科学-君も人間電池/磁石の勉強-世界最小のモーターをつくろう/磁石の科学-電磁力推進車をつくる/磁石とコイル/電波の科学-世界最初の無線通信に挑戦/卵宇宙船を軟着陸させ卵宇宙飛行士を安全に回収せよ/おめんのふしぎ-首振りわんちゃんの型紙/歯ブラシロボットの作り方/いらいら棒上級編の作り方/音、空気の振動を記録して残せないか-レコードの再生に挑戦/ラジオの原理/ミクロの世界の探検/ろうそくの科学/血液の科学 (主宰:山内一徳氏 ymchkznr@sea.plala.or.jp) → 関連記事があるページ
当日の日程等の内容は、別の記事「静岡理科教育フェス」の紹介 を見てください。