地震の研究・情報公開と防災の啓発活動をしている、NPO法人「地下からのサインはかろう会」の上久保廣信さんの記事を、部分的に抜粋して掲載します。(要約の責任は、科教協静岡 長谷川です)
(その1)安心して休むことができる寝室を
机の近くに本やノートがあれば便利なので、机とベッドを同じ部屋に配置して資料を高く積み上げていたのです。地震の時にはどうなるのだろうと思いつつも手がつけられないでいました。とりあえず頭の位置をそれまでとは反対方向にして寝ることにしました。それでも、地震がきたらこの部屋はグチャグチャになることは明らかでした。
そこで、最近、やっと背の高い本棚をこの部屋から隣の部屋に移すことにして作業を終えました。これで、寝ている時に突然、地震が発生して怪我をする可能性がひとつ減りました。
この部屋で生活していて心配なことがもうひとつありました。この部屋は二階にあり、ひとつしかない出入り口のドアが地震の際に開けることができず、外に出られなくなるという心配です。(2023.2.19)
(その2)イメージから始める防災対策
最優先の対策は地震から命を守るための対策です。家の耐震化と家具の固定が大切だと言われています。我が家は耐震補強工事を既に終えていますが、古い家ですから大きな揺れに耐えられないところがありそうな気がします。家具が倒れないように重い家具は固定していますが、随分と前にしたことなので再度確認しないといけません。
地震の後から始まる被災生活を私は未だ経験したことはありません。大地震の後は余震が続き、自宅では怖くて寝られないという話を聞きます。電気・ガス・水道のない生活は、キャンプやドライブなどの経験がありますから、冷蔵庫を使わない体験や車中泊体験などで、日常生活の延長として実践的な防災対策ができるのかもしれません。(2023.3.4)
(その3)非常時持ち出し袋
(非常時持ち出し袋を)この機会に中身を見直すことになりました。
袋に入れるものは災害時に直ぐにでも必要となりそうな緊急性の高いものから選び直しました。我が家は二人家族ですから持出袋をひとつ増やして二つ用意することにしました。
長い時間の経過から新たに追加したものがありました。スマホはラジオ代わりや連絡手段となり使用頻度が高くなることから、スマホを充電するためのモバイルバッテリーを追加しました。ただし、モバイルバッテリーは数ヶ月に一度、充電し直さなければいけません。そのときは中身と防災意識のアップデートをしていくよい機会となりそうです。袋の中身の入れ替えをしていると「これを使う時はどんな場面だろう」とイメージすることにもなりました。(2023.3.18)
(その4)命をつなぐ水
災害に備え必要な飲料水の量の目安は、一人一日3L、7日分といいます。3人家族で1週間分を備蓄するとなると、2Lボトル6本入りのケースが6ケースになります。
災害時に備えて水や食料を多めに買い置きして、消費した量に応じて補充する「ローリングストック法」という備蓄方法で、水や食料を日常的に消費しながら備蓄していくのですが、それでも期限を迎えた水が発生します。
賞味期限を迎えた水でも加熱したり浄水器を通したりすれば飲用に使えることもわかりました。残った備蓄水はこの浄水器と一緒にして保存することにしました。しかし、水をどこへどれだけ備蓄するのかがまた、新たな課題となりました。(2023.4.4)
(その5)辛い時だからこそ好きな食べ物を
災害時はただでさえ辛いので、好きな食べ物や美味しいと思うものを備蓄しておきたいものです。最近は保存食と言っても美味しくできたものがたくさん出回っていますから、新しい災害食を探してみるのも楽しいかもしれません。
災害時には停電により冷蔵庫は使えないため、常温で長期保存できるものを探すことになります。カレーが好きなら「レトルトカレーとパックご飯」、味噌汁はいつも欲しいとなれば「フリーズドライの味噌汁」などが頭に浮かびます。炊飯袋に米と水を入れ30分間熱湯に入れることで温かいご飯ができます。その場合には、熱湯を用意するための水や調理器具、熱源などが必要となります。(2023.4.15)
(その6)トイレの備え
水さえあればトイレが使えそうに思いますが、そうでもなさそうです。マンションの場合、排水管が壊れているときに上層階で汚物を流すと、下層階の住人のトイレからその汚物が溢れ出てくることがあります。また、熊本地震の際、下水道が復旧しても下水管の復旧が進まなかったために、下水道が使えなかったことがありました。トイレは下水道の入り口です。汚物を水に流すには、下水道が壊れていないかをマンションの管理組合に確認したり、戸建て住宅の場合でも宅地内の汚水ますのようすをみて、下水が流れるかを確認したりする必要があります。
水で流すことができない場合は、トイレ処理剤を使って汚物を保管し後に、燃えるごみとして処理することになります。(2023.5.27)
「私の地震防災対策」の原文は、
NPO法人「地下からのサインはかろう会」のホームページ(https://hkamikubo.wixsite.com/hakaroukai)
内のページ「わたしの防災」にあります。
作者の上久保廣信さんは、科教協静岡の会員で中学校で理科を教えるとともに、上記のNPO法人副代表として活躍されています。「地下からのサイン測ろうかい」は、各地で地下水温を観測し地震との関連を研究している民間団体で、地震関連情報の公開や地震防災の啓蒙活動をしています。この会の運営は、会費(正会員:3,000円/年)と寄付(準会員:3,000円/年等)によって賄われていますが、財政的に支えてくださる準会員も募集しています。参加は、会のホームページのトップ画面にある「入会はこちらから」から申し込めます。 (文責 科教協静岡 長谷川静夫)