(1) モズ(百舌)
「♪もずが枯れ木で鳴いている~」(元詩:サトウハチロー1935年)のように、冬に木が葉を落としているときに、何回か山に近い遊水池で見つけました。 日本では留鳥(一年中生息している鳥)ですが、小鳥は葉が茂っていると探しにくく、見つけたのは冬でした。 「百舌」は、「様々な鳥(百の鳥)の鳴き声を真似た複雑なさえずりを行う」ことから付いたということでした。
モズの写真は全てオスの違う個体で、(メスではやや目立ちませんが)くちばしの基から目を通り後頭部へ続く模様(過眼線)が黒です。 また、翼に白い斑点模様があります。オレンジ色・黒褐色・灰色の羽毛もあり、なかなか鮮やかな鳥です。 メスは、全体的に褐色が主なようです。全長は約20cmで、ムクドリよりやや小さいです。
くちばしがカギ型で、いかにも肉食だとわかります。バッタなどの昆虫、カエル、トカゲなどの他、小鳥や野ネズミを捕食しています。 平地や低山、市街地の林の縁、農耕地などに生息しています。
獲物を枝などに串刺しにする「モズのはやにえ」は有名で、左の写真の撮影者の戸塚享さんの話では 「庭の植木を見ていたら,面白いものを見つけました。モズの<はやにえ>です。 はじめはトカゲかなと思いましたが,足の指を見てヤモリだとわかりました。 のどを背中側から枝に突き刺して上手にぶら下げてあります。この後どうなるのでしょうね。」と言うことでした。 その後、はやにえにされたヤモリは忘れられて?串刺しのままだったそうです。
(2) ヒヨドリ
この鳥は比較的木の上の方にいたため、たまに私の写真に写っていたのですが、特徴がわからなくて名前を決めかねていました。 冬に柿の低い枝に何羽かで実をついばみに来ていて、横顔と全身が撮れてわかりました。よほど美味しかったのでしょう。
大きさは、ハトとムクドリの間ぐらいです。全体的に灰色ですが、腹のまだら模様や頬の褐色が目立ちます。 また、頭頂の羽毛がやや長くてボサボサとした冠羽も見られます。木にとまっているときは直立した姿をしています。
くちばしが細くて長めであることからも、花の蜜を吸ったり、果実をつつくのに便利なのでしょう。 ミカンやキャベツなども食べるため害鳥として「狩猟鳥」に指定されています。 繁殖期には昆虫やクモも食べます。庭に果物を半分に切っておくと、やってきて他の小鳥を追い払い独占するそうです。 里山や公園の樹木もあるところに生息する留鳥です。
鳴き声が「ヒーヨ!ヒーヨ!」と甲高く聞こえることが、和名の由来という説もあるそうです。
群れで渡りをすることもあり、平家物語の「鵯越(ひよどりごえ)」は、ヒヨドリの渡りをする場所だったそうです。
長谷川静夫(科教協静岡):skrc@sf.tokai.or.jp