太陽の日周運動の記録をとる際,透明半球に打点を記録していくやり方が一般的です。しかし,記録地点は静岡県のみで限定的であり,多地点と比較することはできません。
そこで他地区と連絡をとり,北海道・静岡県・岡山県・沖縄県の4地点で冬至・夏至・秋分の日周運動を同時観測し,半球を作成しました(図1)。
(1) 観測地点と時期の選択
静岡県を基準として,高緯度地点の北海道,同緯度地点の岡山県,低緯度地点の沖縄県を選んだ。
時期については,年間を通して南中高度が一番高く日照時間が一番長い夏至,南中高度が一番低く日照時間が一番短い冬至,昼夜の長さが同じ秋分を設定日として選んだ。なお,地域によって天候に差があるため,設定日の前後の記録となっている。
(2) 同地点の時期による比較
静岡県の夏至・冬至・秋分の記録をもとに,1つの半球に写し取る。季節によって日の出・日の入りの位置が異なる平行線が引ける(図2)。秋分を境に冬至に近づくほど日の出・日の入りが南寄りになり,夏至になるほど北寄りになることがわかる。
(3) 同時期の地点による比較
夏至における北海道・静岡県・岡山県・沖縄県の記録をもとに1つの半球に写し取る。地点によって日の出・日の入りの位置や南中高度の異なる線が引ける(図3)。
静岡県と岡山県はほぼ同じ線が引ける。
静岡県を基準に考えると,北海道では日の出・日の入りが北寄りで,日照時間が長く,沖縄県では日の出・日の入りが南寄りで日照時間が短いことがわかる。
透明半球記録の複製(「Serendipity」№68 から)
記録した透明半球をレーザーポインターを用いて複製する方法を紹介します。
用意するもの
・A3用紙 ・記録済み半球 ・複製用半球 ・油性マジック ・スタンド ・レーザーポインター ・テプラ
複製の仕方
〔準備〕 ① A3用紙に,油性ペンを使って,記録済み半球の円周を書き写す。
② ①の円周上に東・西・南・北・中心の印を書き込む。
③ 複製用半球に,油性ペンで東・西・南・北の印を書き込む。
〔複製〕 ④ 記録済み半球を,A3用紙に書いた円周上にあわせておく。
その際,東・西・南・北の印も合わせる。
⑤ 記録済み半球における,記録点と中心点にレーザーを当てる(図1,図2)(※1)。
⑥ レーザーはスタンドに固定する。
※1 記録用半球と複製用の半球の径が同一の場合,実際は中心点に当てなくてもよい。記録点だけレーザー光が当たれば複製は可能。
⑦ 複製用半球に入れ替え(※2),レーザーポインターが半球に当たる場所に記録する(図3,図4)。
※2 複製用半球は,径が異なる場合でも複製が可能である。その際,複製用半球の天頂からの垂線上に,中心点が来るようにする必要がある(図5)。
〔事後処理〕 ⑧ テプラで,「記録日」「観測値」「記録点番号」を張り付け,完成。
執筆:高橋政宏(理科サークル「SCIENTIA」)
問い合わせ先:m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp
(★を@に変えてください)
この記事は、理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№67から引用し編集したものです。