炭酸水素アンモニウムはNH4HCO3で表される化学物質(図1)です。固体は58℃,水溶液は70℃に加熱することでアンモニア,二酸化炭素,水の3つの物質に分解します。
NH4HCO3 → NH3+H2O+CO2
固体を加熱すると気体となって目に見えなくなるという,一見「状態変化」ともとれる炭酸水素アンモニウムは「化学変化とは何か」を考える良い教材となります。
炭酸水素アンモニウムの授業での活用例
① 炭酸水素アンモニウムを水に溶解させます。
もう一度炭酸水素アンモニウムを取り出すにはどうしたらよいでしょうか。
・冷やす ・加熱して蒸発させる
〔結果〕冷やすと粒が残った 加熱して蒸発させると何も残らなかった
② 炭酸水素アンモニウムはなぜ消えてしまったのだろうか。
〔状態変化説〕
・固体が気体になった
・炭酸水素アンモニウムは融点や沸点が低い
〔別の物質になった説(化学変化説)〕
・アンモニア臭がしたので,アンモニアになった
・名称に炭酸とか,水素とか,アンモニアがつくので,二酸化炭素,水素,アンモニアに分かれた
気体を再び冷却し,白い固体が出れば〔状態変化説〕が正しかったことになり,気体が別の物質になっていたら〔化学変化説〕が正しかったことになる。
③ 検証実験
炭酸水素アンモニウムを加熱し,発生する気体などを分析する。
結果から,化学変化説が妥当性をもつことが見出せる。
理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№61(2020.6.22)より
問い合わせ先:髙橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)