アメリカ西海岸にある「レッドウッド国立公園」には、地球上で唯一残されている高さ100mにもなるレッドウッドの木が自生しているそうです。筋肉もない植物がなぜそんなに高く水を吸い上げることができるのでしょうか?
(1)水の凝集力~まとわりつく水~
水分子は極性分子ですから、分子同士が粒子間の力で引き合います。ですから水は物にまとわりつく性質があります。
国際宇宙ステーションの動画では、水が粘り気のある物質だということがよくわかります。(Webで「宇宙空間で濡れたタオルを絞る」などで検索してください。驚く映像がアップされています)
細い管を水中に入れると、管の壁に水が張り付き、水がある程度の高さまで上がります。ただ、高くなるほど水の重さが大きくなるので、吸いあがる高さには限界があります。
(2)根圧
根の細胞が浸透圧の差を利用して水を吸収する力は、根から地上部へ水を押し上げる力として働きます。これを根圧といいます。根圧の存在は、植物を茎の基部で切断したときに切口から水が排出されることからもわかります。
例会では、西村さん撮影のカイワレの根毛が紹介されました。
根毛はネットワークを形成しているように見えます。どの植物もこのようになっているのでしょうか?
(3)蒸散の働き
蒸散は葉に多くある気孔から水蒸気が放出される働きです。蒸散による水の放出が起こるため、その分水が吸いあがるというわけです。これは水の凝集力があるからこそ起こる現象です。
水の吸い上げについては、発芽から苗くらいまでの背の低い間は根圧の影響が大きいのでしょうが、成長するにしたがって蒸散による影響が大きくなるのでしょうね。1気圧で管内を上がる高さが10m程度だという事実を考えても、100m吸い上げる力は本当に偉大です。植物のすごさを実感できました。
紹介:理科サークル「SCIENTIA」西村
執筆:同 髙橋 連絡先:m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)