理科サークル「SCIENTIA」の例会での内容を紹介します。
植物単元は「旬」であると西村さんは言います。「旬」のものを授業に取り入れるとは、実物を観察することでもあります。実物を通して学ぶことほど、深く学べることはないでしょう。植物のすばらしさ、巧妙さを実感する授業とは何であるのかを語り合いました。
〇ツクシはどうやって子孫を残すか
春に、1本のツクシがあればその周りのスギナとの関連が学べます。西村さんはツクシの胞子の観察(写真)や、ツクシの一生を植物単元の導入に使いました。ひとつの植物の一生をおうことで、今ある植物を「一生の中のワンシーン」として見つめることのできる力は、今後の植物単元を学ぶ準備としては大きな意味をもつでしょう。
〇なぜ花は匂うか
牧野富太郎さんのことば「花は黙っています。それなのになぜあんなにきれいなのでしょう? なぜあんなに快く匂っているのでしょう?
思いつかれた夕方など、窓辺にかおる一輪の百合の花を、じっと抱きしめてやりたいような思いにかられても、百合の花は黙っています。そして、ちっとも変らぬ、清楚な姿でただじっと匂っているのです」。西村さんはこんな素敵な言葉から、植物が花に込めた子孫を残す仕組みを授業化されています。
〇「種子」にはどんな機能があるのか
焼津のサッポロビール園にある、オオガハスという植物にはこんな歴史があります。
1951年(昭和26)3月、植物学者・大賀一郎博士は、地元の花園中学校の生徒たちと共に「縄文時代の船だまり」とされる遺跡を発掘調査した。花園中学校女子生徒(西野真理子)が、地下約6メートルの泥炭層から最初にハスの実1個を発掘した。その後、2個のハスの実を発掘し、発見したハスの実は、合計3粒になった。年代測定の結果それらの実は弥生時代(約2000年前)のものであることが判明した。
1951年、大賀博士は発見した3粒の発芽を試みたが、2粒は失敗に終わり、5月、残りの1粒が発芽に成功した。
1952年(昭和27)7月18日、早朝、伊原氏宅(醤油製造)の庭で、ピンク色の見事な花(古代ハス)が咲いた。
以来、大賀ハスは「世界最古の花」として、海外でも大きい反響を得た。
その古代ハスは千葉県千葉市千葉公園から日本各地をはじめ、世界各国へ根分けされ、友好親善を深めている。
〈参考〉HP「2000年前の古代ハス 大賀ハス~千葉公園太古のロマンを永遠に~」
紹介:西村紳一郎さん
種子のたくましさと、植物の生命力がよくわかるエピソードです。また、植物に向かい合って研究することのカッコよさも伝わります。植物の学習をドラマチックに行うことのできる可能性を感じました。
以上は、サークルニュース「Serendipity」No.51から引用し編集しました。
「SCIENTIA」連絡先:高橋政宏さん m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)