著者の長谷川博さんは、研究者になりたての頃にアホウドリが絶滅寸前だと知り、一人で無人島の鳥島に40年間毎年何回も渡り、調査と保護活動をしてきました。 2018年には個体数が5,000羽を超え、保護の目標が達成されたので、ご自身の野外調査活動は終了となりました。
長谷川博さんは、「アホウドリ」という失礼な名前ではなく「オキノタユウ」と呼びたいと言います。 この本は、「白く大きく美しい海の女王」オキノタユウ乱獲とその後の歴史、若い日に生涯関わることになる出会い、保護活動の工夫と努力、科学的な見通しと多くの人の支え、この鳥の特徴と生活、海鳥の現在の危機も紹介しています。 日記風の文や具体的な内容と、ご自身で撮影したきれいな写真もあり、読みやすく引きつけられます。
長谷川博さんには、2016年8月に静岡市で開いた科学教育研究協議会全国研究大会で、講演をお願いしました。静岡市の出身です。
野生生物について、研究者としての生き方と保護活動のあり方など、子どもたちにもぜひ読んでほしいと思います。 本の一部にはふりがなもあって、小学校高学年では読めるのではないでしょうか。
「アホウドリからオキノタユウへ」長谷川博著 新日本出版社(2020年4月)発行 1,500円+税
関連:長谷川博さんの記録、オキノタユウの写真館などは、
東邦大学バーチャルラボラトリ「アホウドリ復活への軌跡」 https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/
文責:長谷川静夫(科教協静岡)