授業での平面上の前線の図や天気図では、立体的なイメージを働かせることは難しい。
そこで、前線面や雲の立体的なモデルを用いて、空間的な広がりや、天気の時間的な変化をイメージできる授業実践を紹介する。
「立体的な前線モデル」で準備するもの
・ホワイトボード:前線や風向きを書く。
・青と赤の短冊:寒気側を青、暖気側を赤にして、2枚を重ねる。
・マグネットクリップ(100円ショップ「ダイソー」で購入)
・マグネット:人に見立てて置くと、視覚化できる。
・竹串と綿:積乱雲と乱層雲をつくる
気象の「前線」の授業の進め方
① 前線面の予想
・寒気と暖気の境目がどのようになるかを予想し、短冊とクリップで立体的に表現させる。
・短冊は、寒気側を青、暖気側を赤色にすると、重なり方の違いが視覚的に比較しやすい。
② 予想の確認実験
・サーモインク(温度が高いと赤色、低いと青色になる)とPVA(洗濯のり)を混ぜたものや、水と牛乳をそれぞれ入れた容器の境を外すことで、前線面を観察した。(参考:YouTube「科学実験動画 前線モデル」)
・あらかじめ録画して動画にしておくと、繰り返し再生したり、一旦停止して拡大したりすることができて確認しやすくなる。
③ 前線面の雲の予想
・竹串2本を芯とした雲を2セットつくる。
・寒冷前線と温暖前線の前線面のどのような位置にどのような角度でできるかを、前線面の角度や上昇気流を根拠に、立体的に予想する。
④ 積乱雲と乱層雲の比較
・寒冷前線と温暖前線の前線面の傾きの違いから予想した雲が、積乱雲と乱層雲であることを確認する。
・立体的に前線面や雲をモデル化することで、なぜそこに積乱雲や乱層雲ができるのかを、根拠をもとに考えることが可能になった。
⑤ 雨域の予想
・「雨が降るところに色を塗ってみよう」と指示で、生徒は雲の違いをもとに、ホワイトボードに雨域を予想して書き込むことができた。
⑥ 天候の予想
・「風向きは南東で、上空にはうろこ雲が見える」という気象条件が書かれた資料から、生徒は観測地点を考え、観測者に見立てたマグネットを立体モデルの中に配置した。
・「この場所で西の空にはどんな雲が見える?」と問いかけ視点を移動したり、「この場所の天気はこれからどうなる?」と問いかけ天気を予想させたりして、天候の変化をとらえる工夫とした。
以上は、科教協静岡「研修交流会」で紹介されたものです。
紹介:中澤祐介(理科サークル「SCIENTIA」)
問い合わせ先:「SCIENTIA」高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)