「気象は暗記すればいいから簡単だよ」という生徒の一言を聞いて反省した。気象の学習は実験も少なく、覚える用語や事象も多いため、生徒の目にはそのように映るらしい。
そこでサークルの仲間と共に、生徒にとって気象の授業が現実離れせずに、「自分ごと」になりうるような授業実践を行おうと考えた。今回は、気象の膨大なデータを有効に活用しようという観点から、ICTを利用した実践を紹介する。
① 「気象庁ホームページ」から過去の気象データの活用
(https://www.jma.go.jp/jma/index.html)
・(導入)自分の生まれた日がどのような天気であったか。
・気象庁HP → タブ「各種データ・資料」 → 「過去の気象データ検索」 → 「地点の選択→生まれた場所」「年月日の選択→生まれた日」「データの選択(1時間ごとの値を表示)」を開く。
・「気圧(現地)」「気温」「湿度」「風向・風速」「天気」を読み取り、グラフをつくって、どんな天気だったか考えさせる。(HPに「グラフ」のタブもある)
・仲間の記録と比較し、気象要素の規則性を考えさせる。(気温の日変化、気圧の日変化などの規則性に気づく)
(注)天気記号の「薄曇り」→「晴れ」とする。
② ウエブサイト「earth 地球の風、天気、海の状況地図」の活用
(https://earth.nullschool.net/jp/)
・世界中の大気情報を視覚的に示すことができるシミュレーションサイトで、動画の色や線の動きで大気の様子が観察できる。
・(例えば典型的な冬型の日に)校庭を吹く風を調べる → 全国の風の傾向を調べる(気象庁HPの天気図) → 「earth」の画像で視覚的に地球規模の風を実感する。
・画面の左下の「earth」という文字をクリックすると、画面の表示を変更できる。 →
「操作」の欄の「カレンダーマーク」から任意の日が選択できる。「>」「<」で時間を変えられる。/「高度」の欄の「250hPa」で、高度10km付近の対流圏上層の偏西風(ジェット気流)が観察できる。/「レイヤー」の欄の「気温」も使える。/「モード」の欄の「粒子状物質」をクリックして現れる「レイヤー」の「PM2.5」で、直径2.5μm(マイクロメートル)以下の大気汚染物質の分布が表示される。
③ 県内の風向データの活用 ― 海陸風の学習
県内の駿河湾沿いの観測データを用いて、昼と夜の風向の変化がなぜ起こるかを考える。どの地点も、昼は海から陸に向かって風が吹き、夜は陸から海に向かって風が吹くことがわかる。
以上は、科教協静岡「研修交流会」で紹介されたものです。
高橋政宏(理科サークル「SCIENTIA」)m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)