ビーカーの注ぎ口を合わせるように、2つの200mLビーカーをくっつけると、線香の煙を入れやすい装置ができます。この装置を使い、いろいろな視点で空気の流れを観察することができます。
〇 気温差による風を確かめる
風は気温の低い方から高いほうに向かって吹くという事実を確認するときに用います。一方のビーカーの下に保冷剤を、もう一方の下にはカイロを置き(カイロはなくてもよいが、あたたかな空気のイメージのためにあった方が理解しやすくて良い)、高さ調節のために間に粘土を置きます。
注ぎ口から線香の煙を入れると、煙が温度の低い方から高い方へ移動するようすが見られます(図1)。
〇 鉛直方向の対流を確かめる
装置を縦方向に使い、下にカイロ、上に保冷剤を置きます。注ぎ口から線香の煙を入れる(図2)と、上下方向の対流が観察できます(図3)。
ビーカーの間に仕切りをつけて、一方のビーカーのみに煙を充満させた後、仕切りをゆっくり引き抜き、対流の始まりを観察することもできます。
〇 前線の観察
装置を横方向に使い、一方のビーカーの下に保冷剤を、もう一方の下にはカイロを置きます。ビーカーの間に仕切りをつけ、保冷材の方のビーカーに注ぎ口から線香の煙を入れ煙を充満させます(図4) 。煙が充満したら仕切りをそっとはずします。寒気(線香の煙)が暖気の下に潜り込む様子が観察できます(図5)。また、線香の煙をカイロ側のみに充満させて、同様の実験を行うと、暖気が寒気によって上昇させられる様子が観察できます。
この実験は何度も繰り返しでき、再現性に優れています。
〈執筆〉髙橋政宏(静岡大学教育学部附属静岡中学校)
〈参考〉実験装置は静大附属静岡中学校の生徒が考案したものを髙橋が改良しました。
この記事は、理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№50から引用し編集したものです。
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