科教協静岡が静岡市内で開く小集会「静岡理科の会」を、10月13日(土)の午後に開きました。 内容は、植物に関する講演と、中学校や小学校の教材報告や実験紹介です。 午後の時間のみだったのに多くの内容を盛り込んだため、やや時間不足の感じもありましたが、いろいろ興味深いことが聞けました。
(1)講演 早川宗志氏 ふじのくに地球環境史ミュージアム 研究員
静岡県の植物は、地域環境が多様(海から富士山まで、南と北の植物が生育)のため、日本の在来種の半数が生育しているそうです。 その中で、静岡県を特徴づける植物としては、アザミの中で大型の「フジアザミ」、世界農業遺産に関わる茶草場(ちゃぐさば)に生育する「フジタイゲキ」や同じくわさび田のワサビなどがあります。
また、虫媒花や風媒花の特徴やでき方、進化にもふれられました。
博物館の標本についての話もありました。ミュージアムでもまだまだ標本の整理がつかないので、ボランティアを募集しているそうです。
① クジャク石を使った「化学変化を実感する」授業
クジャク石(マラカイト)は、主成分が炭酸水酸化銅です。 分解・還元を通して銅が取り出せる(天然石から銅が取り出せる)という魅力があります。 化学変化(熱分解)で発生する物質は全て中学で学ぶ物質であり、生成する固体の色が緑から黒に変化することで、化学変化のイメージを持たせやすいとのことでした。
クジャク石を熱分解した生成物(酸化銅)の還元は、炭素でも行われるようですが、水素で行う方法が鮮やかでした。
※ 詳しい内容は、別の記事を見てください。 →
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② スマホを使った3Dホログラム
スマホやタブレットの画像が、簡単に立体らしく見える手づくりの装置です。 ネットに作り方が紹介されていて、ユーチューブに動画もあります。 プラスチックで一部が欠けた四角錐のような装置をつくり、画面の上に置いて横から見ると、画像がプラスチック面で反射しているだけなのに、プラスチックが透き通っているため、画像が宙に浮いて見えました。
③ トウモロコシを用いた「遺伝の規則性と遺伝子」の授業
購入したスイートコーンを使った、メンデルの分離の法則の実験です。 子どもたちは、エンドウには馴染みがありません。トウモロコシは日常的に食べているし、一個体に数多くの粒ができるのでサンプル数が多くなるなど、実験材料として優れています。
また、遺伝子組み換え作物の輸入が許可されていて、食の安全を考える良い教材になるとのことです。
※ 詳しい内容は、別の記事を見てください。 →
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④ 小学校での実験・観察
・ ペットボトルを使った日時計
紙の上に水の入ったペットボトルを置いて、太陽による影を紙に書くと良いとのこと。 ペットボトルは安定していて、また影も書きやすいです。
・ 金網を使って月や星座の観察
100円ショップで買った金網に、透明なポリ袋をかぶせて止めたものを用意します。 そのポリ袋に、サインペンで地上の景色と月や星座の位置を書き込むようにします。 子どもに、実際の動きをきちんと見せるための工夫とのことでした。
・ 川の上流・中流・下流当てパズルから、川の流れの働きを考える
上流・中流・下流の川と川原を入れた景色の写真を印刷して厚紙に貼り、それぞれを8等分したカードを用意します。 全てを混ぜたものから、ジグソーパズルのように並べ替えて3枚の写真にもどします。 その各々の写真が、それぞれ上流・中流・下流のどの景色かあてる中で、川原や石のようすが学べます。
・ 実験をして石の変化を体験し、川の流れの働きを考える
ペットボトルに角張って尖った石を入れてよく振ると、3分ぐらいで角が取れて丸くなります。子どもが上流と下流とで石が違うと思っている誤解を解くことにもなるとのことです。 ※ 詳しい内容は、別の記事を見てください。 →
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(3)教材・教具の提供
① 紙ひもで作る1000万倍のDNAモデル
関連記事「1000万倍のDNAモデルをつくろう」
② 電磁気の実験小器具のジャンク品
③ pH実験で使う紫いも粉(パウダー)
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④ 大気圧の実験と雲づくりの器具
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文責:長谷川静夫(科教協静岡)