1) 浮力の正体がわかる装置
・ 底に穴の空いた容器(写真では2Lのペットボトル:口の内径2.5cm)にピンポン球やスーパーボールを入れて上から水を注ぐと、 スーパーボール等は穴にはまって浮いてこない(ただし水もれも目立つ)。
(編集注:この実験の原型は、愛知・岐阜物理サークル著「いきいき物理・わくわく実験」新生出版1988)
そのときにスーパーボールが受ける力→水からで下向きの力(水圧の押さえつけているイメージ)
(注) 他に、下向きにスーパーボールが受ける重力、 接している容器からの力もあるが、浮力ははたらかないので浮かんでこない。
・ 外の容器に水を注いでいくと、 内外の容器の水面の高さが同じになった頃、 (写真では)アラビックヤマトのキャップが浮かんでくる。
水に浮かないアルコールランプのキャップを使うと、 外の容器の水面の方が高く(キャップを下から押す水圧がさらに大きく)ならないと浮いてこない。そのときは、勢いよく浮き上がり、内外容器の水面が同じになるので、 ゆっくり沈んでくる。
つまり、浮力の正体は物体が受ける上下の面の水圧の差で生じるとわかる。
2) 水に浮く銅板(舟をつくろう) (注)丸杉さんのオリジナル実践
「浮力と生活が結びつく場面は「舟」かなと思い、授業化してみました」とのこと。
・ 「銅板(15mm×45mm 3g)を浮かせてみよう」と言うと、 アルキメデスの原理を押さえてからつくらせたが、ほとんどの生徒がいかだをつくった(浮かない)。
箱にして体積を増やし、 浮力を大きくした生徒は小数だった。
・ セロファンテープを使ってつくる箱形(銅板7枚) → 体積は 4.5cm×4.5cm×1.5cm=30.375cm3 で浮力は 0.30N 。質量は 3g×7=21g で重力は 0.21N で、浮力の方が大きく浮く。
・ 定量的に考えさせたが、 中学1年では計算についていけない子もいた。 「水に沈む銅でも、体積を増やして浮力を増やすことで浮かべることができる」というまとめが必要。
これからは中学3年の学習になるため、どうすれば浮くか、なぜ沈むかをじっくり数字を使って考える授業ができそう。ただし、小数のかけ算だが、計算練習をさせる授業ではないので、電卓を使わせよう。
この記事は、理科サークル「SCIENTIA」の「授業づくり・実験講座」(2018.5.20) での丸杉周平さん(中学校勤務)の発表で、資料をもとに編集した「科教協静岡ニュース」No.45の記事によります。