この記事は、理科サークル「SCIENTIA」の「授業づくり・実験講座」(2018.5.20) での高橋政宏さん(静岡大学教育学部附属静岡中学校勤務)の発表です。(科教協静岡:長谷川)
高橋さんは、「植物が水を吸うことをわかっている生徒は多いが、……植物が水を獲得する巧妙な仕組みを知ることで、植物という生物の魅力を感じさせる単元にしたい」と言っています。
1) 根の観察
・ 土中の根のようすをイメージで描かせると、「根の表面積を広げて水を吸収する工夫をさせた」という趣旨の説明をする生徒が多くでる。植物を抜いて根を観察させる(主根・側根、ひげ根、根毛)。
2) 茎の実験
① オオアレチノギク、ムカシヨモギの水切り
(注) 高橋さんが色々試して、 水の吸い込みが速いものを探したとのこと。
・ 刈り取って1時間ほど経ったものは、水槽に入れても大きな変化はないが、水切り(水の中で茎を一気にはさみで切り落とす)をすると、 数分間で茎がしっかり立ち上がったり、葉がムクムクと起き上がったりする。
② 染色しての茎の導管の観察
・ オオアレチノギクでは、切り花用染色液「ファンタジー」(教材屋から購入できる)内で水切りすると、 10分程度で葉の先端まで染まる(粒子が小さいので食紅より速く染まりやすいが、 手につくと染まって取れにくいので注意)。 茎の断面の切片で、 維管束の顕微鏡観察ができる。
・ キャベツにファンタジーを1時間程度吸わせると、道管の観察が容易にできる。また、葉脈も太く、次の項目の葉の横断面の観察もしやすい。
3) 葉 ビニルチューブを用いた蒸散実験
・ 内径1mmのビニルチューブを切って、スライドガラスにセロファンテープで固定する(ビニルチューブの一端をガラスの外に少し出しておく)。
・ ビニルチューブの中に、 ファンタジーなどの染色液を注射器やピペットで満たす。
・ そのビニルチューブにツバキやサザンカの葉を差し込むと、見ている間の数分で染色液が葉に吸われて減っていくのがわかる。
・ ワセリンを、葉の表側、葉の裏側、塗らない葉で比べると、裏側の蒸散量が多いことから気孔の学習に進むことができる。
・ 夜間等と比べ、 日中に光合成をしているときに水の吸収が多いことも、実験することができる。
問い合わせ先:高橋政宏さん m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)