科教協静岡「研修交流会」(2018.4.30)での高橋政宏さん(静岡大学教育学部附属静岡中学校勤務)の発表です。(科教協静岡:長谷川)
高橋さんによると、「生徒の関心(なぜ豆電球は明るくつくのか?)と、教師側が教えたいこと(電流・電圧・オームの法則・電力等)にギャップがある。そこで、授業の流れを生徒が関心をもっていることからスタートした。」とのことです。
「電気分野の授業の流し方」より
① 電流計の使い方を教え、電流を計測することで決着をつける(導線を流れる電流の大きさは同じ)。 「電子が使われる」説ではなく「回路内の電子の数は変わらない」説が正しいとなる。電流の大きさは通過する電子の数の多さに置き換えられる。
②③ 1.5V用と2.5V用の電球の直列(直列では抵抗が大きい2.5V用が明るくなる)にして、「あれ、流れる電流は同じはずなのに明るさが違う?」と生徒の考えをゆさぶる。
④ 「電子が分かれる」説と「どの場所も変わらない」説で、計測して決着させる。
次に、1.5V用と2.5V用の電球での並列でも計測し、 分かれた電流はまた合わさって(電球を流れる前と後で)同じ大きさの電流になることを、はっきり理解させる。
電圧は高さ(電子の持つ位置エネルギー)とイメージさせる。
⑤⑥ 「電子の高さは変わらない」説と「電子の高さが変わる」説で、計測して決着させる。
(モデルの意味)電子が「仕事ゲート」を通過したとき、仕事(電球が光ったり、熱が発生したり)をすると考える。
電圧をイメージでとらえる。
⑦ 同様に電圧を計測して決着させる。1.5V用と2.5V用と6.3V用の電球の並列(並列では抵抗が大きい6.3V用が暗くなる)でも計測する。電圧の高さは同じなのに、なぜ明るさが違うのかという疑問をもたせる。
⑧ 電流を計測。並列の時は、 電圧が同じでも流れる電子の数が違っているから明るさに違いが出ると考えさせる。
明るさは電力によって決まる。電子の持つエネルギーと電子の数が明るさを決定する。
【質問】電池はなぜなくなっちゃうの?(電気が流れなくなるの?)という疑問に対しては、 どう答えるか。
【答】(イメージ図の)エスカレーターが動かせなくなるというイメージでとらえさせる。
高橋さんの発表資料
(理科サークルニュース「Serendipity」№38に掲載)
高橋政宏さんの連絡先:m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)