内容:(1)植物の葉の付き方
(2)「動物の体のしくみ」で大切なこと
イソギンチャクを用いた単元の導入
(3)カイメンを使った動物単元の導入
(1) 植物の葉の付き方
葉の付き方のモデルです。葉は日光がまんべんなく当たるよう、上から見ると1枚1枚重ならないようについているのですが、それを表現するにはどうしても3Dモデルが必要になります。このモデルは、ストローで作った茎をつなげることができるため、葉の角度や順番を自由に変えられます。小学校6年生、中学1年生が学ぶ光合成の導入や、まとめに使えると思います。
ちなみに私は小学6年生に対してまとめに使いました。植物には光が必要だとわかった子たちに、「君たちが植物なら葉をどのようにつける?」と問い、モデルを使って考えさせました。その後実際の植物を見に行き、自分たちの考えと同じ仕組みで植物の葉はついていることを確認させました。
〈参考〉左巻健男・橋本頼仁編著 『最新小6理科授業完全マニュアル』 (学習研究社 2009)
(2) 「動物のからだのしくみ」で大切なこと
導入の在り方とは何なのか、動物単元をどう考えたらよいのかなど、面白い議論になりました。
① 授業における導入とは
導入は、その単元の考えの拠り所になるような概念を感じさせたいものです。その後、単元を通して導入内容に肉をつけていくように、ものの見方や考え方が膨らんでいくのが理想です。したがって、「その単元で大切なことは何か」を考えることで導入内容が決まってくると思います。
② 動物単元で大切なこと
では動物単元で大切なことは何でしょうか。議論では「捕食や、捕食から逃れるのための巧妙な体のつくり」ではないかという話になりました。動物と植物の大きな違いの1つに『独立栄養か従属栄養か』があります。小学校6年・中学1年で「植物は独立栄養である(光合成をしてでんぷんをつくり、自らの生長に使う)」ことを学んでいることを考えると、それに対応する形で「動物は従属栄養である」ことを教えることは自然でしょう。生徒は動物を単に「動くもの」ととらえがちですが、「動物は食べるため、また食べられないために動く」となれば動くという体のつくりの巧妙さに感激するはずです。感覚器官は獲物を見つけたり、敵から身を守るために必要ですし、運動器官は獲物を捕らえたり、逃げたりするのに不可欠です。そのように考えると神経の発達や、消化吸収のしくみも従属栄養ならではの工夫として見えてきます。
③ イソギンチャクを用いた導入について
そこで、この動物単元の導入として「イソギンチャク」を使ってはどうかという話題になりました。
【イソギンチャク】
・刺胞動物
・海底の岩に体を固定させているものが多い。
・触手で捕食して、腔腸で消化・吸収を行う。
・藻類と共生し栄養摂取を依存する種も多い。(このような種は日光の当たる浅瀬に住む)
・心臓も血液もない。
イソギンチャクはみんなが知っている生物ですが、一見動物なのか、植物なのか迷います。生徒に問えば、素朴概念や今知っている知識で「動物と植物の線引き」をして考えるでしょう。最後にイソギンチャクが捕食をする映像を見せれば、生徒には「食べるから動物なんだ」という実感がわくと思います。会で見たイソギンチャクがウツボを捕食する様子の動画(「イソギンチャク 捕食
動画」で検索)は、イソギンチャクの動物としてのどう猛な一面が見られるため、お勧めです。
※ 誤解がないように捕捉しますが、動物と植物の違いは「食べるか食べないか」だけではありません。あくまでも授業化する際の焦点として挙げただけです。
(3) カイメンを使った動物単元の導入
中学2年生の動物単元で、「カイメン」を使用したとのことです。
次の生物を「動物」と「動物でないもの」に分けましょう。
スズメ ヘビ カエル ハチ エビクラゲ イソギンチャク カイメン
生徒はやはり、 イソギンチャクやカイメンで悩むようです。
生徒の討論の後、イソギンチャクの「捕食の動画」(前記)や、「カイメンの放精動画」などを見せることで、「動物の特徴」を実感させたそうです。
授業でのコラムも、動物観が広がるものになっています。
これは、理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」から転載して編集したものです。
問い合わせ先:高橋政宏(理科サークル「SCIENTIA」)
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