小学校理科サークル 12月例会の紹介
静岡小学校理科サークルの2回目の例会が、12月23日午後に「ふじのくに地球環境史ミュージアム」との共催で開かれました。内容は小学校講座でしたが楽しく学べ、また、中学校や高校でも活用できる実験やアイデアが満載でした。
講師 丸山 哲也さん(科教協委員長)
(1) 小学校3年 豆電球をつけて金属をさがそう
課題 豆電球と乾電池をつないで,電球を光らせましょう。(両方+,-,側面に接する場合もみんなで確認する。)
教材 豆電球・乾電池・被覆をはいだ電線を使う。どんなときに光るでしょう。
回路をつなぐと豆電球が光る(図左)とやった後でも、図右のようにしても「光る」という子どももいるそうです。「+と-から出たものがぶつかって光る」というイメージを持っているためのようです。
「続いて、回路という言葉を使いながら金属テスターをつくる。回路にクギを入れても光ることを確認し、クギは電気を通すことを教える(クギはさびていない光っている物を準備する)。テスター(豆電球と電池の回路)を使って、金属でできている物、金属でない物を探す(コンセントに入れないことを注意する)。
アルミ缶は金属か、電気を通すか調べる。金属だと思っても、塗装がしてあって電気を通さない物がある。塗装や酸化皮膜がしてあって電気を通さない物は意外と多い。紙ヤスリでこすって塗装をはがし電気が通ることを確かめる。さらに、アルミホイルは金属か、銀の色紙(アルミが蒸着)はどうか、金の色紙(アルミの上に塗料が塗ってある)は表面をはがすと電気が通る。」
課題 電池と豆電球があります。金属を探してきて回路をつくり,電球を光らせましょう。
教材 理科室は,金属の宝庫である。アルミホイル,各自のコンパス・ハサミ,コイン,戸棚の実験器具などいろいろ利用して金属で回路をつくると電球が光ることを確かめる。
(2) 小学校4年 ものをあたためると,ものを冷やすと
(いろいろな物の三態変化をやった後で,水を取り扱う)
「教科書で学ぶ「水のすがたとゆくえ」の単元では,気象の学習も同時に扱われます。これは,ものの状態変化と気象学習をすることになります。そのため,洗濯物の水分が100℃で気体になっていると考える子どももいます。また,状態変化も水だけの扱いになり,氷・水・水蒸気という個別の名前を持った水の状態を学習しますから,水が三態変化をしたと考えにくくなります。このような水の循環と物質の三態変化は,同じ単元として学習することには無理があります。そこで,「ものの三態」と「水の循環」の学習は,別単元で行うこととしました。」
詳しい説明と具体的な進め方は、
記事「ものの三態変化の後で水を」を参照
(3) 小学校5年 ふりこのはたらき
「この『ふりこのはたらき』の単元は,実験をするときの条件設定の必要性を理解するためにあります。そして,自分たちで条件設定をしながら実験し,『ふりこが1往復する時間は,ふりこの長さ(糸の長さ)によって変わる。重さや振れ幅によっては変わらない。』という,きまりを発見することに授業の目的があるようです。」
実験で分かりきったことを確認するだけでは、子どもたちは楽しい授業と思いません。条件設定を、周期が変わらないおもりの「重さ」「振れ幅」を先に、そして「ふりこの長さ」と課題を示して実験を進める。さらに、実験をうまく進めるためのコツ、おもりの下げ方、振れ幅のとり方、ふりこの長さ、周期の測定の仕方(子どもたちに数えさせる)など、楽しく進める工夫があると分かりました。
詳しい説明と具体的な進め方は、
記事「ふりこのはたらき」を参照
(4) 小学校6年 電気の利用
家庭の電気の取り込み口に付いていた電力メーター(電力量計)が、計器の回転板の回転の速さで、電力(電気エネルギーの使用割合)が分かって、役に立つとのことでした。ただ、今は「スマートメーター」への交換が進んだこともあり、入手が困難になったのでネットオークションで購入し、配線は電気屋さんに相談したとのこと。
白熱電球とLED電球では、明るさが同程度でもかなり計器の回転の速さ(電力)が違う、発熱量も明らかに違うことが分かりました。まだ、ドライヤーでは、かなり電力を使っていると分かりますが、温風と風(冷風)でもずいぶん違いがありました。熱を発生させるニクロム線や電球のフィラメントでは、使用するエネルギーの割合が大きいと分かります。
また、豆電球10個ぐらいをゼネコン(直流手回し発電器)につないで回すと重たくて、仕事をしている(電気エネルギーに変換している)が、豆電球をはずすと急に軽くなって、違いが良く分かります。
文章の編集責任:長谷川静夫(科教協静岡)