(1) 水分子の運動と拡散のモデル実験
● 概略
中学1年生では水溶液の単元で「拡散」をあつかう。しかし、溶質の粒が均等に溶液中に散らばっているという考えにとどまり、なぜ拡散するかは言及されない。 この拡散モデルを用いれば、拡散の仕組みが水分子の運動によって引き起こされていることが容易に理解できる。
● 準備
・透明のプラスチックペレット ・透明プラスチック容器 ・BB弾 ・マッサージ器
● 方法と順序
① 透明プラスチック容器にプラスチックペレットを入れる。(透明プラスチックペレットは水分子のモデル)
② 上にBB弾を入れる。(BB弾は溶質のモデル)
③ プラスチック容器の下からマッサージ器をあてて、ペレットを振動させる。(ペレットの振動は水分子の運動をあらわす)
水分子の運動によって溶質が拡散していく様子が観察できる。
● モデルと実際の対応 (実際の拡散実験は(2)を参照)
(2) 短時間でできる!砂糖の拡散実験
● 概略
中学の水溶液の学習で大切なことの一つに、「粒子概念」がある。特に溶質の粒子が拡散していく課程は具体的にイメージさせたい。 焦がした砂糖は ① 水溶液に色が付き拡散の様子がわかりやすいこと、② 拡散のスピードが格段に速く、授業時間内に観察できることの2つのメリットがある。
● 準備
・砂糖 ・重曹(炭酸水素ナトリウム) ・ガラス棒 ・アルミホイル ・ガスバーナー
● 焦げた砂糖の作り方
① 砂糖100g程(水は入れない)をビーカーに取り、ガラス棒でかき混ぜながら加熱する。
② 砂糖は状態変化によって液状になり、その後茶色く変色してくる。沸騰しかけたら、ガスバーナーを止め、炭酸水素ナトリウム(薬さじ1)を入れ素早くかき混ぜる。
③ 焦げた砂糖がふくらむ。
ガラス棒でアルミホイルの上に取り分け、しばらく放置すると、アメのように固まる。(綿飴のように常温ですぐにとろけてしまうため、取り置きはできない)
● 授業のすすめ方
① 水の中に砂糖を混ぜずに入れておくと、砂糖水はどのようになるのでしょうか。
ア 上の方だけ甘くなる イ 下の方だけ甘くなる ウ どの場所も甘さは変わらない
② 焦げた砂糖を使えば、目で砂糖の様子がわかります。
焦げた砂糖の様子を観察しましょう。
③ 砂糖の粒を使って観察の結果を図にまとめてみましょう。
く参考文献)
福地章宏 『実践ビジュアル教科書 中学理科の化学』(誠文堂新光社2011)
HP:Mr.Taka 中学校理科の授業記録
http://www.ons.ne.jp/~taka1997/education/science/index-chemistry/index.html
(3) 簡単にできるマッサージ器の自作
「生徒に個人を実験させたい」という思いから、安価で簡単にできるマッサージ器が開発されました。 つくりはシンプルで、モーターの軸にゴム栓を刺すだけです。ポイントはゴム栓の中心軸をはずして刺すことです。 そうすることで回転軸がずれ、振動が発生します。実際のバイブレーターも仕組みは同様だそうです。
フィルムケースを用いて実験を行えば、手軽にできますし、このくらいの振動で結果がよく出ます。
問い合わせ先:高橋政宏 理科サークル「SCIENTIA」
m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)