4月30日(月・振替休日)の連休前半の最終日に、表題の行事を「ふじのくに地球環境史ミュージアム」(静岡市)で開きました。 理科の授業の「初級講座」という位置づけで、例年この時期に開催し、科教協静岡の外にも広く呼びかけています。 近年は、午前は全体会の講演、午後はいくつかの講座に分かれる形式です。
ふじのくに地球環境史ミュージアムとの共催で、実験室等を借用しミュージアム研究員から取り組みの紹介もありました。 また、静岡市教育委員会の後援も得ています。
今回の全体会講師は「金沢・金の科学館」の四ヶ浦弘さんにお願いしました。 午後の小学校講座は、科教協委員の丸山哲也さんと小幡勝さんにお願いしました。 また、中・高校講座は静岡のメンバーで分担して発表しました。
(1)全体会講演「実験で楽しむ『宮沢賢治と金・銀・銅の不思議』」 四ヶ浦弘さん(金沢・金の科学館)
「金・銀・銅でどれが欲しい?」で始まり、各金属の性質、箔の特徴、NaやCaと、実物と実験を交えた紹介がありました。 続いて、宮沢賢治の著書で「一番化学の美しさが表現されている『銀河鉄道の夜』」に沿って、 チンダル現象、ウミホタルの発光、色の合成、蓄光塗料、水晶の摩擦発光・熱伝導率、炎色反応と、鮮やかな実験を含めて紹介がありました。
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【感想】
・1つ1つの実験が理屈だけでなく見せ方トークともに面白く、長年のご経験が感じられるものであった。 宮沢賢治の文章の奥深さを知ることができた。(中・高校勤務)
・金属のことなどについて理解を深めることができました。酸化銀を銀にもどす実験はすぐに授業でやりたいと思っています。 また、宮沢賢治の作品も読み直したいと思いました。(中学校勤務)
・銀が一瞬でサビる、そのサビが一瞬で戻る実験に驚きました。 宮沢賢治が、これらの化学の知識を物語の中に表現したことがとてもおもしろく、賢治の追体験をしているみたいでした。(小学校勤務)
・物語の中の表現に出てくる科学的な現象を、実際に実験して検証するという企画がとても面白かった。(退職者)
(2)小学校3・4年講座 丸山哲也さん(科教協山梨)
電気の働きで、電流の流れがあることを押さえて、乾電池のつなぎ方で回路ができることの大切さを、さらに自分で組み立てて理解を深める。 「教科書の学習が、実生活とのつながりを感じるものにして欲しい」とのことです。
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【感想】
・「電気のはたらき」の単元について、新しく電圧という考え方を小学生にも導入した、単元計画を見せていただき参考になった。 教師自身が、回路のつながり方の課題の出し方、発問を様々に考えれば、子どもも考えることがたくさんできるのではないかと感じた。(学生)
(3)小学校5・6年講座 小幡勝さん(科教協東京)
植物の花粉の双眼実体と解剖顕微鏡での観察実習や、植物の繁殖に関わるものと、光合成の観察、たたき出し加熱乾燥法の紹介がありました。 「植物の生き様を理解させたい」とのことです。
【感想】
・現場の先生の教えていることや懸念する点、工夫している点等が聴けて、色々考えさせられた。 理科教育のうち、教材を使って行うカリキュラムについて、進め方や発想方法、さじ加減が参考になった。(主婦)
(4)中学校・高校講座
① 中学2年 電子の振る舞いでイメージさせる電流・電圧・電力
「生徒の関心と教師の教えたいことにギャップがあるので、生徒が関心を持つ『なぜ豆電球は明るくつくのか?』から始めた」とのことです。
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② 天気とその変化(海風、陸風の授業)
「日常生活に関係づけて天気の勉強をさせたいと、気候の変化を感じやすい秋に学習をもってきて、特に海風・陸風に注目させた」とのことです。
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③ 金・銀・銅の不思議を探る
金かメッキかを調べるや、銀サビを取る方法の実験、金箔を9Vでタイルに貼り付ける方法など、 「本物を見せることが生徒の心に火をつける」とのことです。
④ フレミング左手の法則がわかりやすい、一巻きモーター
回転子(コイル)が1本の銅線からできている簡単モーターです。
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⑤ 中学1年 手軽にできる光合成実験
どこにでもあるカタバミで、エタノールでの脱色も試験管を使い湯煎で真っ白にできるので、安全で簡単にできる方法です。
⑥ 1000万倍のDNAモデルを作ろう
紙ひもをよって太さ2cmのDNAのモデルを作る実習をしました。
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【感想】
・様々な資料を読ませていただきました。生徒の知的好奇心を持たせるような授業を行うことで、理科嫌いな生徒にとって、実験や観察に興味を持てれば幸いです。(高校数学教員)
担当:科教協静岡 長谷川静夫