CO2、NH3の水への溶解度が大きいことを鮮やかに示す実験
[二酸化炭素が水に溶ける実験]
① 「南アルプスの天然水」550mLのペットボトルに半分ぐらいの水を入れ、BTB指示薬を加えると、緑色~薄い青色(中性)に着色する。
② そのペットボトルの上部に、二酸化炭素をゆっくり封入する。
(上の写真は、CO2を入浴剤バブ(緑色)を湯で溶かして発生させているが、もちろん他の薬品やCO2ボンベ使用も可)
③ ふたを閉めた後に激しく振ると、中の二酸化炭素の大半が水に溶けるため、ペットボトルはへこむ。また、水は黄色になり、酸性の炭酸水になったことを示す。
[アンモニアが水に溶ける実験]
① 試験管に塩化アンモニウム2gと水酸化ナトリウム2gを入れて、水を2mL加えると、 水酸化ナトリウムが水に溶けるときに発生する熱で、次の化学反応が進行しアンモニアが発生する。
[NH4Cl+NaOH → NaCl+NH3+H2O]
試験管にガラス管(ストロー)がついたゴム栓をつけ、「南アルプスの天然水」550mLのペットボトルで、上方置換でアンモニアを捕集する。
② ゴム栓にスポイトを差し込んで、スポイトの中に水を2~3mL入れる。
③ このゴム栓つきスポイトをペットボトルの口にはめて、ペットボトルの中に水を入れると、 アンモニアはこの2~3mLの水に溶け込み、ペットボトルはつぶれてしまう。
④ 高校理科サークルの例会で、アンモニアの中にスポイトで水を加えなくても、ふたに水を入れふたを閉めて、 ペットボトルの中に水を入れると同じような結果になるのではないかという指摘を得て実験をしたところ、それでもうまくできました。(下の写真)
いずれにしても、生徒実験をする場合にはアンモニア臭が強烈なので、特に水を加える所などで、アンモニアを余りもらさないようにする注意が必要でしょう。
また、岡田さんは、教科書にもあるアンモニア中での水の噴水の実験は、結果が鮮やかすぎて(年間人気実験の上位だが)、 生徒が何を見たのか(アンモニアがいかに水に溶けやすいか)を注目できないので、ペットボトルでの実験を先にやり、 その後アンモニアの噴水も見せるとのことでした。
気体の水への溶解度は、化学図表や理科年表で値は分かりますが、岡田さんは分子の数も示すそうです。 これも生徒に具体的にイメージ化する良い方法だと思います。
[例] 気体が水に溶解する場合の分子数の割合
窒素:水分子約10万個(8.2×104)に1個、酸素:水分子約5万個(4.0×104)に1個、
二酸化炭素:水分子約1千5百個(1.4×103)に1個、アンモニア:水分子約4個(3.9)に1個
この実験は、「静岡・高校理科サークル」で紹介しました。
もともとは、科教協東海ブロックの「理科実験お楽しみ広場」で紹介された、 薄いペットボトル(例「南アルプスの天然水」550mL:特に薄いペットボトルなのでこの実験が可能)に半分ぐらいジュースを入れて、 そこに二酸化炭素を封入してから激しく振ると、大半の二酸化炭素がジュースに溶けて、ペットボトルがへこむというものです。 ジュースは炭酸入りに変化します。
それを、学校の授業での実験用に科教協愛知支部の岡田晴彦さんが工夫して実践しているものです。
二酸化炭素や特にアンモニアが水によく溶けることを示す、鮮やかな実験です。
(文責:科教協静岡 長谷川静夫)