第5回「科教協静岡」研修交流会 中学校分科会の内容紹介
【目次】
1.電流・磁界・音についての簡単な実験
2.化学実験の手作り装置いろいろ
3.遺伝ゲーム(実習)
4.東海地震から命を守る=私の防災計画づくり
1.電流・磁界・音についての簡単な実験
(以下の内容は、科教協で紹介されてきた実験です)
(1) 原理が分かる超簡単なモーター
① 電池の負極に、ネオジウム磁石をつけたクギをぶら下げる。
② 電池の正極と磁石の側面を導線で接触すると、磁石が回転する。
③ 理由:磁石を流れる電流と、磁石の磁界のはたらきで、電流が力を受ける。(フレミングの左手の法則)
(2) 原理が分かる簡単な紙コップスピーカー
① コップなどに貼り付けたコイルに、ラジオのイヤホーンジャックから取り出した(音声)電流を流す。
② 磁石をコイルに近づけると、電流が磁界から力を受け、電流の変動がコップなどを振動させる。
③ 紙コップ、プラコップ、ダンボール箱、木(例えば黒板)など、材質により聞こえ方が変わるので、生徒の興味を引く。
(3) 音さでのうなり
振動数が少し違うもの(あるいは、片方に針金などおもりをつけて振動数を変えたものと)を同時にならすと、うなりが聞こえる。
(4) うず電流の実験
① アルミは磁石がつかないことを確認。
② アルミ板の上で、ネオジウム磁石をすべらせると、ゆっくりすべり落ちる。(磁石以外のもののすべりと比べると良く分かる)
③ 理由:ネオジウム磁石が動くと、アルミ板を貫く磁界が変化するので、その変化によって金属にうず状の電流(電磁誘導による電流)が流れ、 その誘導電流による磁界と磁石の磁界が反発し合ってブレーキがかかる。
(5) 質疑・討論
① 小学生は、N-Sが両端にある棒磁石なら分かるが、NSが両面にある丸形磁石(ネオジウム磁石など)になると混乱した。磁力線の流れを説明しないと難しい。
② ふうせんを持たせると、音の振動を体感させることができる。ブーブー笛も効果的。
2.化学実験の手作り装置いろいろ
(1) ピッカリテスターの紹介
① ピッカリテスターを100Vに接続する。(電源装置などを出す必要がなく準備の時間が短縮でき、また、豆電球の不良に気付かない失敗もない)
② 水溶液に差し込むと、はっきりした電球の光で導通が確認できる。生徒たちの反応もよかった。
③ グループ実験で使えば楽しくできる。また、演示実験でも生徒に確認させやすい。
【関連記事】 ピッカリテスターでの実験
① バブに湯を入れると、CO2が簡単に多量に発生する。
② 着火したろうそくをビンの中に入れて、CO2の発生を確認する。
③ マグネシウムリボンに着火してCO2の中に入れると、発光しながら燃え続ける。CO2からOが奪われるので、Cが残りビンの側面に付く。(酸化還元反応)
(3) 簡単な手作りの水素発生装置と、水素の実験
① アルミはくに希塩酸を注いでも水素は発生しにくい。(加熱すれば可能) 鉄とともに希塩酸に入れると発生する。
② 理由:アルミはくは表面が酸化していて反応しにくい。AlはFeよりもイオンになりやすい(イオン化傾向が大)ので、酸と反応するようになる。
③ ペットボトルの下の部分を切って、底に穴をあけ、逆にしてはめ込む。フタにも穴をあけビニール管を差し込み、気体が漏れないように接着剤でとめる。(簡易気体発生装置)
④ 濃塩酸を5倍に希釈した希塩酸を容器に入れる。丸めたアルミはくと切ったスチールウールを装置に入れ、ビニール管付きのふたをして、装置を容器に沈める。 装置内に希塩酸が入って水素が発生する。
⑤ 発生した水素をシャボン液に通すと、シャボン玉が発生する。そのシャボン玉にチャカマンで上から火をつけると、燃焼が起こり水素の確認ができる。
(注:簡易装置の管口に火を近づけると、引火・爆発の危険があるので、注意する)
⑥ 二酸化炭素のシャボン玉は、下に落ちていくので、比較で見せるとおもしろい。
(4) イオン確認の手作り装置
水槽の端に硫酸銅の青い結晶をいれる(写真では手前側の色の濃い部分)と、イオンが溶けて拡散するので、 電極の間が導通し近い側から電球がついていく。食塩等のイオン性物質でも同じ。
(5) 質疑・討論
拡散の学習は、中1の「水に溶けるとはどういうことか」であつかう。 ここでは、色がついた物質をつかうと、分子が広がっていく、全体が同じ濃度になるなどのイメージ作りがしやすくなるのではないか。
3.遺伝ゲーム(実習)
(科教協等で学んだ内容を活用しています)
(1) 遺伝子をつかって、子の顔を模擬的につくってみる実習
① 自分の顔の特徴を、顔の各パーツ(顔の形とか毛の色など8種類と、性別、ABO式血液型)ごとの例(顔パーツごとに遺伝子があり、2つの遺伝子の組で現れると仮定する)をつかって選ぶ。(下図)
② 自分の各顔パーツの(仮定された)遺伝子を全て2つに分ける。 細胞の染色体が減数分裂をして、染色体数が半分の生殖細胞(卵か精子)をつくることに相当。
③ 2つに分けた自分のカード(生殖細胞)の1枚を共通のテーブルに出す。カードの裏にひとことを書きあうと楽しい。
④ 共通テーブルからカード(卵か精子)を1枚ひろって、自分が残したカード(卵か精子)と合わせ自分の子どもとする。 2つの各遺伝子の組み合わせから、各顔のパーツの例をつかって、子どもの顔をつくる。
⑤ 子どもの名前と子どもに望むことを書かせて完成。
(2) 質疑・討論
① 性染色体の遺伝子型が、XXYやXXXは、減数分裂の均等割ができないので、子どもはできない。
② ヒトゲノムマップは、日本科学未来館(東京都江東区青海)で売っているが、文科省(科学技術週間)のホームページからダウンロードできる。
4.東海地震から命を守る=私の防災計画づくり
担当:長谷川静夫(科教協静岡)