「ピッカリテスター」とは金属であることの確認や、水溶液が導通するか、つまり水溶液中にイオンがあるかどうかを確認する器具です。 電気コードのFケーブルの先を電極にして、電球が点灯するかどうかで確認します。交流の100Vなので、展示(教師)実験でも良く見えます。
(1) 実験例
① 金属が電気を通すことの確認。下の写真右は銀(色)紙が導通し点灯した。
② 食塩や砂糖の粉(固体)に電極を挿入しても点灯しないので、イオンでないか、イオンがばらばらになっていない(電離しない)と分かる。
③ 食塩を水に溶かすと、点灯しイオンに分かれた(電離した)ことが分かる。
④ 砂糖を水に溶かすと、点灯しないので、イオンでできていないと分かる。
⑤ 箱形の容器で端に電極を立て、箱の他端に食塩を入れて溶かすと、間もなくイオンが混ざってきて点灯する。
⑥ 食塩を融解すると点灯するので、イオンに分かれたと分かる。(試験管に少しの食塩を入れ、バーナーで試験管の底を強熱する。 【注】試験管も融けゆがんでしまう。Fケーブルの樹脂が融けないように要注意。冷えると、ガラス・食塩・電極が固まってしまうこともあり、割って取り出す)
⑦ その他の物質が、イオン性物質の水溶液か分子性物質の液体かの確認にも使える。
(2) 実験上の注意点
① 100Vを使っているので、感電に十分注意する。実験ごとにコンセントを外した方が良いだろう。
② 水溶液に浸けるたびに、電極を水で洗うのが良いだろう。
③ 水道水でも、クリア電球ではフィラメントが、少し光ることが分かる(下の写真)。水道水にはイオンが溶けていることを示す。
(3) 装置の注意点
・15Wや10Wのクリア電球では、まぶしく感じる。5Wとかスモーク電球が良いかもしれない。 「ミシン・冷蔵庫球」とか、「装飾用電球」などとして、現在ではまだ販売されている。口金がE12には、夜間照明用の豆球もある。
・LED電球も使えるが、水道水でもかなり明るく点灯してしまうし、純水(蒸留水)でも分かる程度に点灯してしまうので、使いづらい(説明しづらい)。
(4) Fケーブルを使う100Vでの実験は、山内一徳さん(元静岡県立高校教員)に教えていただき数十年活用してきた。 安全性を高めるプラスチックケースのカバーは長谷川のアイデアである。
文責:科教協静岡 長谷川静夫 skrc@sf.tokai.or.jp
【関連実験のリンク先】
硫酸と水酸化バリウムの中和を用いた酸・アルカリの授業(2021.05)
小学校でも活用できる危なくない装置 「 お箸テスター」(2017.11)