① 立体めがねの原理 ―平面の絵がなぜ色によって立体的に見えるのか―
原色に近い色(赤とか青)が、色によって浮き出たり、沈んだりして見えます。
下図のように、めがねで屈折した後の光線の延長上に物質があるように見えるためで、光の波長(色)によって、屈折率が違うためです。
このめがねは虫眼鏡で見ると、プラスチックフィルムに縦線が入っているのがわかるので、回折格子フィルム(プリズムシート)ではないかと思うのですが…。(縦と横に線のあるホログラムフィルムではない)
したがって、正確に言うと、この現象は光の干渉によるものです。
② フィギア入りスーパーボールの不思議 ―水に沈めるとフィギアだけ縮むのは?―
容器の中のフィギア入りスーパーボール(写真左)を水の中に沈めて水面から見る(写真右)と、スーパーボールの大きさは変わらないのに、フィギアだけが縮む(小さくなる)ように見えます。
スパーボールを割ってみると、実際のフィギアは小さいものでした。
空中で(普通に)見たときの像は、丸い曲面が凸レンズのはたらきをして、拡大虚像が見えていること(下の説明図参照)になります。 それを水中につけると、水面が平らなためレンズにならないので、ほぼ実物のフィギアの大きさで像が見えるようです。 (注:ビーカーに入れて横から見てはだめ)
下の原理説明図の、実線の矢印は物体、破線の矢印が像を現します。
スーパーボールと水の屈折率がほぼ同じことも影響しています。光学的な現象です。
この現象は、浜松「科学を考える会」松島さんが、お子さんから聞かれて確かめたと言うことです。(1997年)
③ 「首振りドラゴン」の不思議(錯視)
上の2つの写真は、特に不思議には見えませんが、実は、怪獣の顔は奥にへこんでいます。また、お面の顔は、お面の裏側(へこんだ側)に私が描いた絵です(下写真)。
しかし、実物を片目で見たり、写真に撮ると、上の写真のように普通にふくらんで見えます。 その理由は、片目や写真では距離感がつかめないため、人の脳が「顔はふくらんだもの」と判断して、このように見えてしまうのではないか(錯視)と考えます。 心理的な現象でしょう。
さらに不思議なのは、実物でふくらんで見えたら、見ながら自分の首を左右に動かすと、怪獣やお面の顔がこちらを向いて首を振るように見えます。
どちらも、「科学教育からくり研究会」(掛川) の高村紀久男さんの紹介です。特に、お面は高村さんの発案です。 怪獣は、インターネットで「振り向きドラゴン」とか「首振りドラゴン」で検索すると、型紙がダウンロードできます。(2004年、2005年、2021年)
【関連】後の記事の中に、「しゃぼん膜が割れるときがなぜわかる?(薄膜の干渉)」「不思議な筒の中に見える真ん中の膜は何?(偏光現象)」 もあります。 → 「静岡理科の会」の内容紹介(2015.6.27)
紹介 科教協静岡 長谷川静夫