1.家庭で葉脈標本をつくる[目的]
植物は、根から吸収した水分を体全体に運ぶために、道管をもっています。また、光合成で作られた栄養分を体全体に運ぶために、師管をもっています。この道管と師管は、セットで維管束となって植物中に張り巡らされています。
葉にも維管束が張り巡らされていて、これを「葉脈」といいます。その葉脈だけを取り出して、じっくり観察しましょう。
今回は、各家庭にあるもので実験ができるようにアレンジしてみました。
2.家庭で葉脈標本をつくる[準備]
材料:ナンテン、色画用紙、荷造り用透明テープ 器具:なべ、コップ、はかり、わりばし、ガスコンロ、バット、歯ブラシ、ゴム手袋、アイロン
薬品:重曹(炭酸水素ナトリウム)、酢(酢酸)
3.家庭で葉脈標本をつくる[手順]
(1)ナンテンの葉を水洗いする(欠けたりしていない葉を選ぶ)。
(2)鍋に水を入れ火にかける(水の量はなべの中に入れたコップが浮かない程度)。
(3)コップに重曹を約10g入れ、コップに水を半分ほど(約100ml)入れ、わりばしでかき混ぜる。(溶液はアルカリ性なので体や衣服に付かないよう注意してください)
(4)(3)のコップに葉を数枚入れ、(2)のなべに入れ湯煎する。65℃ほどで重曹が熱分解して二酸化炭素の気泡が出てくるので、わりばしで押さえて静かに葉を沈める。
(5)中火で30分~1時間ほど加熱する。葉が褐色になり、葉の中に気泡が現れたら、火を止め、葉をバットに取り出し、よく水洗する。(必ずゴム手袋をつけること!)
(6)歯ブラシでたたいて葉肉をとり、さらに水洗する。
(7)水中で葉脈を広げてから、酢を数滴入れ、中和する。(先に中和すると葉脈が堅くなり、広げにくくなる)
(8)葉の大きさに合わせて色画用紙を切り、葉脈をのせ、アイロンで乾燥させる。(ティッシュにはさんで水気をとるも可)
(9)透明テープを表面に貼って出来上がり。(葉脈に色をつけてもおもしろい)
【注意】
・葉脈標本づくりに適した葉・・・サザンカ(硬いので重曹では時間がかかる、NaOH向き)、シャリンバイ、カナメモチ、エゴノキ、アセビ、カイノキ、カルミア、ヒメク チナシ、クチナシ、ナンテン(葉の種類のより加熱に要する時間が異なる)
・葉脈標本づくりに適しないは・・・タブノキ、ケヤキ、アラカシ、コナラ、ヤマザクラ、アジサイ、ゴムノキ、アメリカハナミズキ
・アルカリ溶液を直接なべで加熱すると、なべが腐食する。
・葉を煮た重曹溶液は多量の水とともに流すこと。
執筆:篠崎勇(静岡・高校理科サークル)shizuoka_koko_rika_c@yahoo.co.jp
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