私が理科の授業で大切にしていること(須部友康)
・実物を用意する。
・実験,観察の時間を多くする。
・わかったことや,感想を作文で表す。
3年生,4年生とも「しぜんたんけん」「生きものをしらべよう」で植物教材を4月に扱っている。3年生では校庭や学校の周りで,花が咲いている植物や昆虫を探すのが1時間で,発展学習として見つけた生き物を記録し,名前を調べたり,生き物図鑑を作ったりするのが1時間を充てている。家庭学習として見つけた物を朝の会や授業で発表すれば,充実したものになるが,理科の授業で植物の基本的なことを教えたいと思う。4年生は,教科書で掲げた基準の生物を春,夏,夏の終わり,秋,冬,春の訪れの6つの季節での変化を継続観察するものが,「生きものをしらべよう」の単元のねらいである。ツバメ,カブトムシ,ヒキガエル,オオカマキリ,ナナホシテントウ,アメリカザリガニ,ツルレイシを挙げている。
3年生は小学校初めての理科学習なので,理科が好きになるように,また生活科と違って理科室にあるいろいろな道具も使ってすごいんだなあ,と感じさせたくてピンセットや虫眼鏡を使って観察に取り組ませた。
また,児童に対して校庭や野原に咲く植物に関心をもたせるために,観察する視点を持たせた方がいいと思う。
(1) 教科書の単元目標
身近な昆虫や植物を探して,生き物に興味をもつようにする。これから始まる理科の学習のスタートとして,五感を通して野外の動物や植物などの自然にふれ合い,親しみ,様々な発見をしていくことで身近な自然への好奇心が生まれるようにする。
また,この活動の中で,野外活動の基本的な約束事や行動の仕方を身につけられるようにする。特に虫眼鏡の使用の仕方は習熟させたい。
(2) ナズナ(ぺんぺん草)で植物のからだのつくりを
校庭でよく見られる植物としてナズナをまず,観察する。数年前までは,新学期の時期にはアブラナ(菜の花)が咲いていたが,地球温暖化のためか最近は花の時期が早めに終わってしまうので,花の観察がうまくできない。その点ナズナは,校庭や花壇で採取できるので都合がよい。(花壇の草取りをあまりしなかったのがよかったのかもしれない。)
ナズナを班の個数分,根ごと採って来て用意した。朝の始業前や休み時間にごみ袋を持っていき花壇や運動場の周りなどから取ってきて,流しで根に付いた土を払い袋に入れて教室に持って行く。ナズナの体のつくりが,根,茎,葉,花,実の部分があることを教える。ハート型の実の中を切り中にかわいらしい種子が入っていることを虫眼鏡で観察して確認する。
次に,観察力-ドの書き方を知り,花壇や校庭に咲いている野草を1つ以上は見つけて観察することにした。子どもたちは,ホトケノザ,スズメノテッポウ,オランダミミナグサ,カタバミ,シロツメクサなどを見つけてくる。
(3) ツツジで花のつくりを
花のつくりは,ツツジで学習する。(大きい花なので、3年生でも観察しやすい。) 4月中旬にはもう校庭にツツジの花が咲き始めるので,はさみと買い物袋を持ってクラスの人数分を採ってくる。
分解して各パーツごとに画用紙に貼っていく。「めしべ,おしべ,花びら,がく」から花ができていることを教える。
めしべの付け根の辺りがふくらんでいるので,中を切って観察させると種子だとわかる。めしべは1本あることをおさえる。
○ ツツジの花のつくりをしらべました。花びらが5まいあった。めしべが1本,おしべが9本,がくが1こあった。花にはめしべ,おしべ,びら,がくがありました。
○ ツツジの花の3まいくらいの花びらにてんてんがついでいました。はっぱがべたべたしていました。
(4) ハボタンで花から実(種子)の学習を
モンシロチョウの卵や幼虫の観察用のために栽培していたハボタンが生長して,花や実をつけるので,これを教材にした。アブラナと同じように花から実(種子)になっていく様子がわかりやすい。1株採ってくれば1クラス分の教材が準備できる。ハボタンの花や実を観察するときに,虫眼鏡を用意しておくとよい。
(5) 校庭や野原で見られる植物
子どもたちに野草の名前を親しみをもって覚えてもらうように,いくつかの特徴的な名前を持つ植物の実物を採ってきて見せながら,解説した。
①オランダミミナグサ・・葉を触ると耳たぶのような感じ
②シロツメグサ・・つめのような模様
③スイバ・・・茎の中の汁が酸っぱい
④ホトケノザ・・仏様が座っている様子
⑤スズメノテッポウ・・・鉄砲のような槍のような
⑥カラスノエンドウ・・野エンドウの大きなもの
⑦スズメノエンドウ・・野エンドウの小さなもの
(→カスマグサ)中間がカスマグサ。「カ」と「ス」の間だから「カス間」
⑧キツネノボタン・・食べると毒。5個くらい食べるとおなかを壊す?
⑨オオイヌノフグリ・・犬の○○○。下品な話になってしまうけど。
「校庭の雑草」の図鑑が1クラス分あるので,一人一人に図鑑を渡し,教師が板書した上記の植物を調べさせる。また,校庭や野原で見たことのある植物も調べる。
(図鑑で探すのは大変なので、実物を置いておくのも良い。また、A3の紙に貼り付けて、白黒のコピーをしてしまって活用する。)
以上は、「科教協静岡」の第3回「研修交流会」で、須部友康さん(浜松市立小学校)の発表レポートから引用して編集した「科教協静岡ニュース」№9の記事です。(科教協静岡)