理科室にある廃材を利用して、力学台車にはたらく重力を可視化しました(図1)。
力学台車上部中央に太めのストローを取り付け、気体ボンベの不要になったノズルを通します。 ノズル基部がストローから抜け落ちることを防ぐストッパーの役割を果たします(図2)。 そして、ノズルの長さを適当にカットしたら、画用紙で作った重力を表す矢印を貼り付けて完成です。 このとき、矢印の作用点の中心にノズルを貼り付けると、重力の作用点が台車上部にあるように見えてしまうので、
少しずらすのがコツです(図3)。
授業では、この台車を使って斜面を下る運動の様子をスロー撮影し、重力は常に鉛直下向きにはたらいていることを確認しました(図4)。 そのうえで、重力のはたらく向きと台車の運動の向きが一致しないことから、分力について考える展開を実施しました。 生徒は感覚的に急斜面の方が加速度が大きくなることを知っていましたが、先に分力の概念を学ぶことで、 その理由を力学的に説明することができるようになりました。
例会では、「矢印の先端におもりをつけることで安定感が増すのではないか」といった改良案や、 「斜面からの垂直抗力を表す軸などを作成することで斜面に垂直な力を考える補助になるのではないか」 といった意見が出ました。 いずれも簡単な作業で力学の概念を可視化できます。 いずれも作業時間のわりに生徒への補助効果が大きい、コスパの良い工夫であると感じました。 (執筆:栃山)
この記事は、理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№83から引用し編集したものです。
「科教協静岡ニュース」№69に掲載しました。
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