中学2年生の電気の単元を貫く教材として,ドライヤーを用いることができるのではないかと考え,分解してみることにしました。 (構造上,うまく分解しきれていないため,あくまで可能性です。)
今回分解したドライヤーは,Panasonic製の「EH-NE36」という製品です(図1)。 まず外装をはがすと,スイッチ,基盤,断熱材が見えます(図2)。 ドライヤー上部に伸びる導線につながった部分は,温度ヒューズです。 この製品は,スイッチで冷風,温風,ターボ(温風かつ強風)に切り替えることができるので,うまく分解すればカイロの学習につながるかもしれません。
さらに分解を進めると,電熱線とモーターが出てきます(図3)。 当然ですが,電熱線とモーターは別の回路になっているため,「熱を生むはたらきをする部分」と「風を送るはたらきをする部分」に分けることができます。 それぞれの部分について学習を深めることで,電熱線,モーターの原理それぞれを学ぶことができると考えました。
また,「エコワット」という製品を用いることで,ドライヤーを使用した時の消費電力や1時間当たりの電気代を調べることができます。 1分間の使用では,冷風(モーターのみ,電熱線不使用)の消費電力は0.00kWh未満で,1時間当たりの電気代は0.6円ですが, 温風(モーターと電熱線)では消費電力こそ0.00kWh未満ですが,1時間当たりの電気代は10.1円と,電熱線の方が圧倒的にたくさんの電力を消費することがわかります。 ちなみに,0.01kWhの電力消費に達するには,温風で2分以上かかりました。
上手に使えば,電力に対する深い学びができそうです。 ただし,分解したドライヤーの電熱線はかなり危険なので,使用の際は十分な注意が必要です。 (執筆協力:栃山)
この記事の問い合わせ先:高橋政宏(理科サークル「SCIENTIA」)
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この記事は、「科教協静岡ニュース」(2022.11.17発行)に、SCIENTIAのニュース「Serendipity」から引用して掲載した。