スマートフォンにはたくさんの機能が搭載されていますが,その中身はどのようになっているのでしょう。「電気で運動するものにはコイルと磁石があるはず」と思い,スマートフォンを分解しました。
分解のようす
部品一覧
① 非接触充電用のコイル
外蓋を取り外すと,直径5㎝ほどの薄いコイルが出てきます(図1)。「置くだけ充電」用のコイルと思われます。
② スピーカー用のコイルと磁石
さらに内部を見ていくと,通話時に耳を当てる部分に小さなスピーカーがあることに気が付きます。スピーカーは小さなユニッ トになっており,ふたを開くようにすると中が見える構造になっています。
ユニットを開くと,小指の爪より小さなコイルと磁石が出てきます(図2)。磁石は強力であることがわかります(図3)。
③ バイブレーター用のコイルと磁石
バイブレーターは意外にもスマートフォンの端のあたりに設置されていました。
直径が7㎜ほどの缶詰のような構造で,クリップの引きつくようすから,かなり強い磁石があることがわかります(図5)。
ふたをあけると中から細いコイルが現れました(図4)。上蓋には磁石がついています。この構造で強い振動を生み出すと考えると,本当にすごい技術だと感じます。
④ マイク用のコイルと磁石
通話時に口を当てる部分に小さなマイクがあります。マイクもユニットになっています(図6)。
クリップを近づけると引力が働くことから,強い磁石がついていることがわかります(図7)。しかし,コイルと磁石が入ったユニットはこれ以上分解できないよう,粘着物質で完全に固定されており,コイルを見ることはできませんでした。
「電気で運動するものにはコイルと磁石があるはず」という学びをした授業の後で,何気なく「スマートフォンにも,コイルと磁石があるはずだよね」と言ったところ,生徒から「分解したい」という声があがりました。その場では「壊れたスマホをもっていて,分解用に提供してくれる人がいたら先生にください。もちろん親の許可をとってからね。」と冗談半分でやり過ごしました。しかし驚くべきことに後日生徒が,「親が良いと言った」と言って写真のスマホ(GalaxyS7)を提供してくれました。言ってみるものです。おかげで興味深い分解と授業ができました。実物を見た生徒からは,コイルの細かさに驚く様子が見られました。
この記事は、理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№66から引用し編集したものです。
執筆:「SCIENTA」高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)