100円均一ショップなどで,首をゆらゆらと振るおもちゃ(図1)があります。構造はコイルと磁石によるものなので,電流と磁界と力の単元の良い導入になります。また,ゆらゆら人形の構造をモデル化することで教材化することができるため,今回紹介をしました。
「ゆらゆら人形」とは
「ゆらゆら人形」と仮に名付けたおもちゃの底を開けると,底蓋と人形部分に分かれます。底蓋には太陽光電池,コンデンサー,コイル,基板がついており(図2), 人形部分にはフェライト磁石がついています(図3)。磁石は振り子のおもりのように芯棒の先についており,芯棒は左右に揺れるよう設計されています。
人形が揺れる仕組みは次のとおりです。
1太陽光電池が電源となり,コイルに電流を流す
2コイルに電流が流れる間,コイルは磁界をもつ
3磁界をもったコイルと磁石には斥力が生じる4磁石は力を受け,芯棒を動かす
5芯棒の揺れが人形のゆらゆらとした動きとなる
「ゆらゆら人形」のモデル
「ゆらゆら人形」は仕組みの単純さから,図4,図5のようにモデル化して考えることが可能です。このモデルを用いれば,コイルの巻き数を変化させたり, 乾電池の個数を変えて電圧を変化させたり, 磁石の種類を変えて磁力を変化させたりすることが可能になります。
授業化でどのように使うか
「ゆらゆら人形」が揺れる理由をモデルを使って探究します。コイルに電流が流れることで,磁石が運動するので,子どもたちは「電流を流すとコイルが磁界をもつのかもしれない」とか,「コイルの周りの磁界を調べたい」という疑問や課題をもちやすいことがこの教材の強みです。
参考:
・後藤富治(2016)「ひだまりこぐま・小型方位磁針」
『授業が楽しくなる科学モノ情報・活用と入手法VOL.3』大日本図書
・大日本図書サイエンスCAFÉ
https://www.dainippon-tosho.co.jp/science_cafe/072/
・高橋政宏(2020)「「ゆらゆら人形」が動く仕組み-導線1本は磁界をもつか-」
『静岡大学教育学部附属静岡中学校理科授業案』
この記事は,理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№63から編集して転載しました。
執筆:「SCIENTA」 高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)