お手伝いをしている「きくがわ科学少年団」の講座の前に、「とびだす鳩」と「びっくりへび」の「手品」を紹介しました。 これは、「パンドラの箱」「びっくりへび」として、『たのしい授業』(仮説社)に紹介されていたものですが、それを、手品としてやってみたわけです。
子どもたちから、「オオー!」という声が上がり、なかなかいい感じでした。
図1のように手のひらで持ち、その上にハンカチをかぶせ、「今から手品をします。何が飛び出すでしょう?」
「3・2・1・ハイッ」と言いながら、ハンカチを引き抜くとともに、手をパッと開くと、たくさんの鳩がパタパタパタと飛び立ちます(ように見えます)。
「たくさんの鳩がとびたちました」(図2)
散らばったものを集め、仕組みを説明します。そしてもう1度「3・2・1・パッ」すると、再び「オオーッ !」という声。
実はこの時、〈不思議なこと〉に気づきました。2回目の「オオーッ!」の方が大きいのです。
なぜだろう。2回目は二番煎じのはずなのに……。
そして考えて見たら、とても重要なことに思い当たりました。子どもたちの立場で考えてみました。 1回目は何が起こるかわかりませんから、 「エッ?」という感じのはずです。 仕組みがわかって、もう1度やるときには、〈納得し〉〈安心して〉その現象を楽しんでいるんです。 それが
2回目の「オーッ ! 」なのです。
これって、「教育学」としてとても重要じゃないか。 やる方は、結果を知っているから、〈2回目はあまり感動しないだろうなあ〉と思ってしまいがちです。 でも、初めて体験する子どもたちの心の動きを考えると、1回目は〈意外〉と思う所で止まっているのに、2回目は、その現象を〈安心して心から楽しんでいる〉のだと思うのです。
続いて、「びっくりへび」に変えて、同じようにやりました。今度は[長い蛇]がにょろにょろととびだしてくるので、これも楽しめます。(図3)
「こんどはへびでした」そして先ほどとの違いを説明して、もう1度「3・2・1・パッ」
子どもたちの楽しそうな「オオーッ!」が印象的でした。
「とびだす鳩」と「びっくりへび」のつくり方
① 牛乳パックの底と口を切り落とし、4等分する。(図4)
② 小さいⅤ字型の切り込みを入れ、輪ゴムを掛ける。(図5)
③ 側から押すようにして開く。(図6)
④ これを手のひらの上に8個くらい重ねて持ち、ハンカチをかぶせる。
⑤「3・2・1・パッ!」の掛け声とともにハンカチを引き抜き、 同時に手のひらをパッと開く。
⑥ 「びっくりへび」は、②で作ったものを8個ほどセロテープでつなぎ、上と同様に演じる。
以上は、科教協静岡会員の高村紀久男さんの実践で、きくがわ科学少年団で行われたものです。
高村さんは、元静岡県立高校の物理の教員ですが、「仮説実験授業研究会」の熱心な実践家であり理論家でもあります。また、 「きくがわ科学少年団」
は、登録団員による月1回の活動を、単なる科学遊びではなく、必ず実験の前にやさしくわかりやすい原理についての理論学習を行っていて、 その結果理科の好きな子が増えているとのことです。
問い合わせ先 : 山内一徳(きくがわ科学少年団) ymchkznr@sea.plala.or.jp