理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№44から転載
花粉管観察はなかなかテクニックのいる観察になる。時間帯や生育状態によってうまく観察できたり、できなかったりとまちまちである。実際に多くの教師が困っている教材でもある。
今回の例会では「実際にうまくいった」とか「良いと聞いたことがある」とか「同僚が使っているのを見たことがある」という植物をあげてみた。
花粉管はなぜ胚珠へ向かうのか
花粉管が迷うことなく、胚珠へ向かうのはなぜか。会では「何か誘引物質が出ているのでは」というところで時間切れとなった。その後筆者が調べたところ、胚嚢から「LURE」という低分子のタンパク質が誘引物質として出ていることがわかった。花粉管は花柱を通過するまではまっすぐ下にのびるが、胚珠近くに来ると、「LURE」によって胚珠へ向かう。植物によって「LURE」のアミノ酸が異なるため、他の植物が受粉しても受精しない仕組みでもあると考えられているようです。
〈参考〉 嶋田幸久、萱原正嗣 (2015) 『植物の体の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)
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