中学1年の植物単元の教材として開発しました。
(1) 学校の草花一覧の作成
私自身、植物は教科書に載っている程度しか分からず、それ以外の植物の名前を生徒から聞かれても「分からない」、「調べてみて」と答える程度しかできませんでした。そこで、学校の草花を全部調べることにしました。まず、学校を回ってすべての草花を写真に撮りました。次に、資料を利用して種名を調べました。資料として活用したのは、『改訂版散歩で見かける草花・雑草図鑑』という書籍です。本書は、季節と花の色で分けられていてとても調べやすかったです。その他、インターネットなどを活用しました。
約40種の植物を調べて一覧にしました(図1)。味が由来のキュウリグサやスイバ、気になっていたマンネングサの名前など発見がたくさんありました。
授業では、植物単元の最初に、作成した植物一覧を配付し校庭を周りました(自信をもって種名を言えた!)。そこで、気になった草花を2つ採って教科書に挟むよう指示を出しました。次の時間はしおりの作成です。しおりの大きさに切った厚紙の上に採った草花を並べ、その上から幅の広い透明のテーブを貼り、パンチで穴を開けて紐を通すとしおりの完成です。2つ作るのは、1つは自分用、もうひとつは例年母の日(5月9日)が近いので、母の日のプレゼントとして作らせています。
(2) ツツジの花の標本の作製
被子植物の花のつくりの授業では、これまでツツジの花の標本の作成で1時間、その他の花で標本を作るのに1時間を使っていました。標本づくりに2時間を使うのはもったいないと感じ、ツツジの標本はあらかじめ用意しようと考えました。まず、ツツジの花をがくから順番に分解して、1〜2週間ぐらい新聞紙に挟んで水分をとりました。その後、シートの上に順番通りに並べ、ラミネートをして完成です(図2)。
これを生徒分(35個ぐらい)作りました(ラミネート作業は支援員さんの力を借りました)。標本はラミネートの際の熱や日光の紫外線などで変色してしまいますが、十分に花のつくりが分かります。
勉強会の中で紹介したところ、「ラミネートの上からマーカーで各部の名称が書ける」「花弁を顕微鏡で見ると細胞の観察ができる」(図3)とアドバイスを頂き、活用の幅が広がりました。
参考:高橋冬(著)鈴木庸夫(写真) (2018)『改訂版散歩で見かける草花・雑草図鑑』創英社/三省堂書店 1500円+税
理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№62から編集して転載
執筆:杉本(理科サークル「SCIENTA」)
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