サクラエビにおける日本国内の水揚げ量の100%は駿河湾産です。しかし2020年2月現在,サクラエビは記録的な不漁に陥っています。2018年には秋漁がおこなわれず,2019年春には「由比桜えびまつり」は中止に追い込まれました。不漁の原因は未だ不明ですが,生態系の乱れによるものと推察できます。
サクラエビの不漁の原因を考えることを通して,生態系のつながりを知り,持続可能な地球環境の在り方を模索する授業にしようと考えました。
(1) サクラエビ水揚げ量減少について
「駿河湾サクラエビ漁 水揚げ量の推移」(静岡新聞2019年1月)から,水揚げ量が1960年代後半を境に減少傾向にあることがわかる。1960年代までの増加は漁技術の向上によるものと思われる。1960年代から乱獲を防止するため,「プール制」を導入したので,水揚げ量は安定した。
2000年代に入ると徐々に水揚げ漁が減少し,2018年にはついに秋漁ができなくなるほど深刻な状態になった。
(2) 具体的な授業展開(案)
① サクラエビが減少した原因は何だろう (2時間)
・考えられる原因(ファクター)をあげて,分類化する
② 分類したファクターとサクラエビ減少の関係性を調べよう (2時間)
・個人で調べたいファクターを選び,調べ学習をする(インターネット,書籍,新聞 など)
・個人レポートを作成する
③ 班内協議 「なぜサクラエビは減少したのだろう」 (1時間)
・班内で,テーマについて話し合う
④ 全体協議 「再びサクラエビの獲れる豊かな駿河湾にすることは可能だろうか」 (2時間)
・全体で,可能だとすれば,どのような理由か,不可能だとすれば,どのような理由かを話し合う
・「豊かな海を回復・維持するために,未来を生きる私たちが考えなければいけないことは何だろう」について意見を共有する
参考:HP静岡新聞社・静岡放送,および@S[アットエス]にてサクラエビ関連の記事のアーカイブが見られる
理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№60から引用
執筆:髙橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)
【関連】 「サクラエビ不漁の原因と富士川水系の濁り」が別の記事として掲載してあります。