翼竜というと恐竜と混同されがちですが、翼竜と恐竜は同じ時代にいたハチュウ類の仲間というだけで、同じ種類ではありません。中学校理科においてそもそも骨を扱うことが少ないことが課題であると考えられます。ヒトの体を理解する方法として、他の動物の解剖を行うことが有効です。それが翼竜であっても利用できるはずです。翼竜の骨格のパーツの図は、ネットにたくさんあります。
これを授業で用いるとしたらどのような場面で使えるかを皆で話しました。
「翼竜の骨格紙模型」を実際に用いると…
生徒たちはこのような並び替えの作業が好きです。図の教材は理科教員である廣住先生からいただいたものです。図の教材は骨が一本多く設定されていて、体の半分の骨だけで構成されています。翼竜であるので小指にあたる骨が異常に長いことがわかります。さらに一本あまることから、思考が必要となり、いろいろと相談しながら進めていく姿がみられました。
「SCIENTA」での話し合い
以下のような意見が出ました。
(※ 「→」は「つけたい力の想定」を表す)
・もう一つのものをもってくることで比較することができる。 → 比較する
・トリとワニと翼竜を比較し、翼竜はどっちに近いか考えさせる。 → 分類する
・ヒト、サル、ライオン、シマウマなどと並べて共通のつくりが見えてくる。背骨や骨盤を基本にして共通部分の色を塗るという方法(下図)がある。 → 共通性、多様性を見いだす
・実際の骨格を組み立てる授業を行っている先生もいた。 (イルカやタヌキの骨格)
生徒がやって楽しいことはどんどん授業に取り入れたいものです。さらにそこに「どのような力をつけるためか」という視点が入ってくると、生徒に指示が出しやすくなります。骨格を組み立てるという授業は、比較や分類を通じて動物からヒトの理解が進む教材としての可能性があります。授業実践をやっていきたいと感じました。
(執筆:髙橋 執筆協力:田村)
理科サークル「SCIENTIA」のニュース「Serendipity」№55(2019.9.8)より転載
問い合わせ先:「SCIENTIA」 髙橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)