アトウッドの実験の装置
ベアリング滑車を机に固定して、適度な長さに切った蛍光水糸を滑車に通し、25グラムのおもりを両端につけている。おもりCは外れやすくなるよう、片方のフックをペンチで広げてある。
・図1①では、同じ質量のおもりA・Bを、滑車にかける。
・図1②では、図2のようにおもりCが外れやすくなるように片方のフックを広げて、おもりAにおもりCを引っかける。
「慣性」の授業
・進行方向と同じ向きに力を加えると加速すること、反対方向に力を加えると減速することを学習する。
・図1①で、おもりを動かすとAがどのように動くか考える。動くことがA・Bの位置(高さ)の違いに関わらず、どの位置でも力がつり合っていて同じように動くとおさえる。
・図1②で、動き始めおもりCが外れた後、おもりAの速さはどのように変化するだろうか?(滑車の摩擦やひもの質量はないとする)
〈話し合い〉
多数派の遅くなる意見を主に取り上げた。進行方向と同じ向きの力がなければ、勢いが減衰していくという意見が多かったが、速くなる派が反論した。最後に変わらない派がスケート場の話をし、進行方向と同じ向き・反対の向きの力がなければどのように運動するかという視点で実験にうつった。
〈実験〉
・実験をタブレットで撮影し、電子黒板上でコマ送りにしたものに点を打つことで、速度が変化していないことを量的におさえた。
・次時では、「なぜ加速も減速もせず等速で運動したか」を検証実験の結果や図にかきごんだ作用線をもとに考えた。
・授業の最後に、等速直線運動と慣性を導入した。
授業をやってみて
力に注目させて慣性の概念を獲得することを目指した。理科を得意にする生徒は、合力=0であれば運動のようすが変化しないことを理解できた。しかし、理科が苦手な生徒は、力と運動の関係をもとに考えられず、話し合いに参加することが難しかった。
力と運動の関係をより定着させることや、本実験を単元のどこで扱うか検討しなければいけないと感じた。
以上は、「研修交流会」で紹介されたものです。
紹介:石神克海(理科サークル「SCIENTIA」)
問い合わせ先:「SCIENTIA」高橋政宏 m-takahashi★ra3.so-net.ne.jp(★を@に変えてください)