科教協静岡第9回「研修交流会」の小学校講座の内容紹介。小学校生活科、3年、4年、5年、6年で、それぞれ講演がありました。講師は科教協に依頼しました。記録は科教協静岡で分担しました。
(1) 小学校生活科 [講師:高鷹 敦さん 高鷹 美恵子さん]
① じしゃくでたんけん(てつさがし)
・1年生の生活科(週3時間)で3学期に実践(8時間)。低学年で科学認識を育てるために、物に働きかける授業として、鉄は磁石にひきつけられることを通して、材料に注目できるようにすることや、身の回りに鉄でできたものがたくさんあることに気づかせたい。
・学習内容: 鉄は磁石にくっつく。 間にものがあっても鉄は磁石にひきつけられる。
・教材(具体的な事実):プラスチックや鉄以外の金属でできているものは磁石にくっつかない。鉄は磁石にくっつく。 間にものがあっても、磁石でクリップをひきつけることができる。 鉄棒やのぼり棒などは鉄でできている。 鉄製のほうちょうやはさみは磁石にくっつく。 磁石にくっつくものは鉄でできていて、塗料をはがすと鉄に特有の色や光沢が出てくる。
② アサガオの観察ポイント
・アサガオの栽培は、種子・双葉・本葉・成長・つぼみ・花・実・種子と節目節目の観察が大切。生命の連続性を学ぶことができる。
③ 紙がくるくる理科工作
・生活科の中で、子ども達が楽しく作って、自分の工夫でさらに発展できる工作。試行錯誤の中から自分だけの作品を作る。
④ あまい水・しょっぱい水・色水つくり
・砂糖を溶かしたり、塩を溶かしたりする体験、アサガオの花や植物の実で色水を作り、紙を染める。身近なものから生活科をはじめる。
(2) 小学校3年 [講師:佐久間徹さん]
① 紙工作で、子どもたちの器用さや集中力を見る
② 生物観察のポイント
・虫が必ずすることを観察する。食う、生き抜いて成熟する、子を残す。ダンゴムシは、数か月で3つのポイントを観察できる。
・持ち物:虫めがね、コンパス、ビニール袋(チャック付き)
・植物の種を集めて、種シートをつくる(野草の種、育てた植物の種、果物の種は良く乾燥させて)。初めは教師が数種類準備する。その後は、子どもが自分で探すようになる。季節ごとにやってみる。
③ ゴムや風のはたらき
・ゴム鉄砲をつくる。ゴムの力を強くすると、ものを遠くまで飛ばせる運べる。
・三角パラシュートで風(空気)をつかまえる。風(空気の動き)が強ければ、ものを遠くまで運べる。↑
④ 授業の終わりに、今日やったことを書く。感想ではなく、事実を書かせるのがコツ。
(3) 小学校4年 [講師:合馬和章さん、小林浩枝さん]
① 電気のはたらき(実験)
・電気が流れると光と熱(風)がうまれる。電流の大きさと電球の明るさの比較。
・電気回路:イライラ棒づくり →
・炭の電池の直列つなぎ。
・鉛筆の芯と芯の間の放電・発光(可変変圧器スライダックを使う)。
② 季節と生き物(夏)の授業プラン
・4年生の理科は、自然観察に多くの時間が配当される。生物学習にどのくらい時間をかけるのか。夏の生き物について、簡単に行う方法と時間をかける方法の紹介。植物の観察のさせ方(スケッチ、観察図の書かせ方)。生き物教材の取り扱い方。
(4) 小学校5年 [講師:小幡勝さん]
① 市販テストもこなせるように、プリント学習をしたりして、その上で自主編成した教材を工夫して行っている。
② 植物の繁殖
・植物教材を1学期に。花の役割は、種子をつくることをおさえる。
・教科書では、条件をそろえた実験で、わかりきった実験(植物の発芽で、水あり、水なし、冷蔵庫に入れるだけ)ではおもしろくない。工夫が必要。
・雑草、木にも花が咲くと、一般化することも大切。桜の花のみつをなめさせたい。教科書にはない、一株の植物がたくさんの種子をつくる、種子は広く散布されるを加えたい。
・花らしくない花、イネに花は咲くか?トウモロコシは?マツは?クリは? ・花粉とり ↑
③ 動物の繁殖
・アジの解剖。 ・メダカ、サケ。オスの役割は何か…受精。 ・受精卵の観察…胚の確認。
・カエル → ニワトリ → ウマの受精の違い。
・タラコの卵の数を数えることで、親の生活との関連を考えさせたい。
タラコの卵の数(みんなで1g分の数を数えよう) → 2129個/g×92g=20万個。
他方、トゲウオは100個 → 世話をしているのではないか?
・では、哺乳類は?
④ その他
・胎児の成長について、母親の大変さ(胎児の排泄物も処理する)も。
・人は直立二足歩行。発達した脳を支えるために、直立し背骨はS字。二足歩行で土踏まずの発達。
・電磁石は、なんでもスピーカー(ヘッドホーンづくり)を。教師がおもしろいなあと思ってとりくむと、学習が成立する。
・地学の教材が少なくなってきている。自然災害が多くなっているのに。
(5) 小学校6年 [講師:丸山哲也さん]
① ものの燃え方
・ものの燃え方に登場する気体は、6年の理科学習に何度も登場する一番大切な物質。空気という混合気体を理解するためには、酸素・二酸化炭素・窒素の固有な性質を理解することが、何より大切。
・ブタンガスは、燃える気体。ブタンガスで満たした集気びんの中へ、火のついたローソクを入れると、ローソクの火は消えて、集気びんの口から大きな炎が上がる。(少しのブタンは空気中と混ざると爆発することもあるが、酸素と混合しなければ爆発はしない) → (リンク先に記事)
・酸素は燃える気体ではない。酸素ガスで満たした集気びんの中へ、火のついたローソクを入れると、集気びんの中でローソクの火は明るく光る。ビンの外に火のついたローソクを並べて置くと、比べやすい。(酸素は燃焼を助けるが、酸素のみでは燃えない)
・二酸化炭素や窒素は、同様にして燃えないし、助燃性もないこともわかる。ガラスでふたをしておいて、後で石灰水を入れると、二酸化炭素と窒素のちがいもわかる。
② 動物・植物のからだのつくり
・絶対に成功するデンプン検出の方法(リンク先に記事)、気孔の観察法、だ液による糖化実験(リンク先に記事)。
・実験や観察を通して、植物や動物の暮らしがわかるような学習に。