高校での物理のテストに見る計算ミスの傾向について、「静岡理科の会」で検討
特に最近になって多いと気になることに、テストの採点をしていての計算ミスがあります。 原因としては、生徒の演習不足や、そもそも計算操作の意味を理解していない、つまり教育課程(教科書)に問題があるとわかっても、明確にはつかみかねています。 テストの解答用紙でミスを見つけると、その都度指摘をしているが焼け石に水のようで、どうして良いかもつかめていません。 生徒がどういう気持ちなのかも、まだ聞き取ってはいません。そこで、会で意見をいただきました。
次の各々の式の変形を誤った例は、高校1年「物理基礎」の学年末テスト(2014.2)で、( )内は誤答者の素点(平均点は63点)。
【意見交換で】( )内は発言者の勤務先
○ (高校)平均点以上を取る生徒でも簡単な式の変形でミスをするのは、あわてたということだけではないと感じている。
○ (小学校)小学校3年で「等号」がでるが、子どもは等号を「は」と思っている(「5+3は8」のように「=」を理解)。 等号は左辺と右辺が等しいことを意味するので、子どもには「イコール」と言うように指導している。 ←同感!高校でも「等号とは左辺と右辺が等しいという意味」と意識して書いていない生徒も目につく。
式をだらだらと書き連ねて、「は」という意味で「=」を書くためにミスをすることがある。
【意見交換で】
○ (高校)計算で、答(例えば桁数)がいくつぐらいになるかの想像もできて欲しい。
○ (小学校)教科書では、計算法が中心。具体例は最初の1問のみで、後はひたすら計算練習。ずっと同じ形式の問題が続く。
例えば、0.8で掛ける、割るとはどういうことか理解できていない。 (【編集注】「割り算とは『1あたり量』を求めるもの」という理解ができていない。割り算とは、例えば500円で0.8mの品物の1mあたりの値段を求めるものなど)
文章題を作れないし、文章題の中に計算に必要のない数値を入れると迷ってしまう。
授業では、ていねいに進める余裕もない。
○ (中学校)分数計算の100/0.5を、筆算の形でで0.5割る100という逆転させた計算形で書いてしまう。計算を操作だけでやってきたためでしょう。
○ (高校)計算演習のトレーニングは、高校生では手遅れにも感じる。
解答例(実際の解答のページを付記)
【意見交換で】
○ (高校)「みはじ法」(上図:「みちのり=はやさ×時間」を簡便に表す図式)を高校生でもまだ使っている生徒も目につく。 みはじ法を使える公式はごくわずかしかないので、公式の意味を理解して計算できるようになって欲しいのだが。
○ (小学校)「速さ」のイメージ(意味)がつかめない子どもに対して、簡便法として教えてしまっている。
紹介:長谷川静夫 skrc@sf.tokai.or.jp