動物の体のはたらきの単元で「でんぷんの糖化実験」があります。 ごはん粒を湯の中でもみ出し,試験管に唾液を入れて唾液アミラーゼによってでんぷんが糖化することを確かめる実験です。 この実験では,でんぷんが濃くなり過ぎて糖化するまでに時間がかかることや子どもたちの唾液への抵抗感が大きいことが課題です。 そこで,でんぷんとしてオブラートを使うことが便利だと聞きました。 オブラートを使った糖化実験は,失敗も少なく唾液への抵抗感もそれほど大きくないことが分かりました。 オブラートは,でんぷんのりを乾燥させたもので,薬局で簡単に入手できます。
デンプンの糖化実験の方法
まず,オブラートを食べてもらいます。口の中で溶けていくのが実感できます。 子どもたちは,「溶けちゃった。」「ちょっと甘いかな。」 いろいろな感想を話します。 そして,オブラートが水に溶けたのか,唾液に溶けたのかを確かめる実験をします。
① ろ紙を4等分したものを2枚準備しますます。
② 1枚は口に入れて唾液を含ませます。少しお湯を含んでからろ紙をなめるとよいと思います。もう一枚は,水を含ませます。
③ アルミホイルにろ紙をのせ,オブラートの小片を重ならないようにろ紙にのせます。
④ アルミホイルを折り曲げ,体温で温めます。(お湯を入れたビーカーの下にはさむのも効果的です。)
どうして,唾液を含ませたろ紙の方だけ,ヨウ素でんぷん反応が出てこないのだろうか。 そこで,試験管の中でオブラートの溶けていく様子を自分の唾液を使って観察させます。
① 口をすすぎコットンボールを口に含み唾液を含ませる。
② 唾液を含ませたコットンボールを10ccほどのぬるま湯に入れます。
③ 10ccの40℃の水を試験管にとります。
④ オブラートの1/10枚を丸めて入れます。
⑤ 試験管をよくふってオブラートをまぜます。
⑥ 40℃を試験管にとり,湯煎しながら変化を観察する。(時々試験管を振る。)
⑦ 10分程度したら,ヨウ素溶液を入れてでんぷんの有無を確認します。
⑧ 自分の試験管は自分できれいにする。
楽しみながらでんぷんが,変化していく様子を観察することができます。 食塩が水に溶けていくのと同じように理解している子どももいますが,でんぷんが,糖という別のものに変わってしまったことを話してあげたいと思います。
さらに,でんぷん糊をろ紙の中に入れて濾過装置を作ります。ろ紙の中にでんぷん糊を入れます。 ジアスターゼ(アミラーゼ)という酵素を振りかけると,でんぷん糊が糖に変わり,ぽたぽたビーカーに落ちてきます。 消化で,ろ紙を通るほど小さくなったことを実感できます。
だ液が気にならないデンプンの糖化
1 使用する実験器具
チャック式ポリ袋(以下チャック袋)(50mm×70mm)・綿球(綿) デンプン0.5g+水100g(加熱してデンプンのりにする) ヨウ素液(市販のヨウ素水溶液を10倍に希釈) ピペット・ビーカー・水・マジック ごはん粒をだしパックに入れて揉み出すのよい
2 実験手順
① 約10g(大さじ1)のごはん粒をだしパックの中に入れ,ビーカーの中で約200mLの水に10回もみたす。
② ①の液2mlをスポイトで,A,Bのチャック袋に入れる。
③ Aには,水で湿らせた綿球を,Bにはだ液で湿らせた綿球をそれぞれ入れ,チャックを閉める。
④ チャック袋A,Bを手の中で3~5分くらいあたためる。
⑤ ヨウ素液を2滴入れて,色の変化を見る。
3 実験の結果
Aだけが青紫色に変化する。Aは青紫色に変化したのでデンプンがあることが分かり,Bはヨウ素溶液に反応しないので,袋内のデンプンが分解したことが分かる。 AとBでの条件は,だ液か水の違いだけで,他の条件は同じなので,デンプンを変化させたものは,だ液であることが容易に考察できる。
以上は、科教協静岡の第6回「研修交流会」(2014.5.17) で、丸山哲也さん(科教協山梨支部)から紹介されたものです。(科教協静岡)