「静岡・高校理科サークル」は、静岡県内の高校の自然科学教育・理科教育の研究と交流を進めるために、1985年2月に発足し2015年まで30年間活動しました。その間、約110回の例会や約160回の「通信」の発行をしました。終了したのは、「科教協静岡」の会員や活動と重なることが増え、また「科教協静岡」が「静岡理科の会」として、小学校から高校までの研究と交流活動を増やしてきたことが、大きな理由でした。
「静岡・高校理科サークル」の活動の進め方
① 静岡県内で、連絡が取れるところから始めて広く参加を呼びかける。
② 例会は、年数回しか持てないが、例会報告や全国の情報を載せた「通信」を発行する。広い県内や忙しさで、例会に参加できなくて通信を読むだけという人も歓迎し大切にする。
③ 事務局は、しっかり確立し連絡を取り合いながら例会を準備する。それは、会を進めるには相談相手が必要だからで、また事務局会でもその場での交流を大切にし、お互いに学び合えるように努める。
④2年に1回は会員登録をやり直して、返事のない人は除く。2年ごとに返信はがきと会費振込で会員再登録を行う。
活動がどう受けとめられているかわからないのでは、事務局の士気にも関わる。また、会員としての意識のない方々にも漫然と連絡を取り続けるのは、金銭的な負担も大きいと考えた。
⑤ その結果、
会員は、30人ぐらいから始まって、50人弱になったこともあった。
例会の参加者は、5人から10人程度。
休日の例会に足を運ぶ点では、忙しかったり気が重かったりするが、通信で実践や情報は知りたいという人も多いようだ。活動の重要性の理解から協力をしてもらっている点もある。
25年目の「静岡・高校理科サークル」の現状(2009年7月まとめ)
① 会員で定年になる人も増え、新規会員も少しはあるが、全体として減少している。
事務局メンバーも忙しかったり定年で、事務局会は久しく開けていない。
② 例会を3か月に1回の定期で開くようにして、事務局会での打ち合わせをしなくてもよくした。
例会は、少なくとも2人が集まることができれば開催する。
③ 通信に載せる例会の報告は、実践者が書くようにしようと申し合わせた。
④ 通信100号記念の会員アンケートから(2008年)
・自分ひとりではなかなか殻が破れないところを、サークル会員の自由な発想で、しかも実践で検証されたレポートや実験を吸収することで、打開できることが最大の魅力。
・いつも、興味深い記事をありがとうございます。なかなか例会に参加できませんが、これからも続けていってほしいと思っています。
・「へえー」と感心する実験と、「これを授業で使おう」という教材に出合った。
・自分達のみならず、他県の実践などの紹介もあり、授業の参考にしています。
・近年は、部活動などのため、例会に参加できませんが、通信を通して、授業中に使えそうな話題を提供してもらっています。これからも、宜しくお願いします。
発足の経緯(1985年)
① 元々は、「静岡高教組」の「組合教研」の運営メンバー(理科部会)が中心であった。年1回の教研集会で終わらせないで、もう少し日常的に実践交流をしたいということが出発であった。
組合教研とは関係を持ちながらも、組合から離れて、広く県内に呼びかけることにした。
② この前の時期(1980年頃)に、高校の新しい必修科目「理科Ⅰ」が問題になったとき、組合の理科部会から「学校現場の状況から、この科目を無視することは困難なので、問題点を非難しながらも、専門外の者でも手軽に使えるテキストを作ろう」という呼びかけをした。
・準備をする事務局はしっかりと確立。しかし、検討会は出入り自由にして、有志で進める。
・事務局も参加者も、その都度勉強になるように。
・作るテキストは、そのままコピーすれば授業で使える、指導書もついたものに。
・その時々の参加者10名程度だったが、5年間を掛けて理科Ⅰ用のテキスト「力と運動」「物質の科学」「エネルギーの科学」の3冊を発行できた。
・「理科Ⅰ」は、その後に実質的にはやらない学校が増えたが、各科目の授業では活用できた。
文責:長谷川静夫(旧「静岡・高校理科サークル」事務局)
【関連】「静岡・高校理科サークル」参加記(2011.6.25)