「ものの温度と体積」単元の視点
(・体積の学習をしっかりする。)
・液体から始めて,体積変化と重さの関係をきちんとつかませる。
・気体・固体も液体と同様な変化が起こることに気づく。
・温度による体積変化に対応するための工夫をさがしだす。(確認する。)
「ものの温度と体積」指導計画 12時間
1 体積の学習(この内容は,無くてもできます。)
① 粘土の入ったカップにフィルムケースを押し込むとどうなりますか。粘土はどうなりますか。(はみ出した粘土は,フィルムケースにぴったり入りますか。)
② 小皿に入っている粘土を,いっぱいの水に入れると水がこぼれます。水を小皿にもどすと,ちょうどいっぱいになりますか。(水の体積を測りましょう。メスシリンダーのメモリの読み方)
③ メスシリンダーで小石の体積を測りましょう。
④ メスシリンダーに入らない,物の体積はどうやって測りますか。
⑤ 人の体積は,どうやって測りますか。
⑥ 板鉛のおもりがあります。延ばしたときの体積は2ccでした。丸めて測ると体積は変わりますか。(ちぎって細かくすると体積は,変わりますか。)
2 液体の体積変化と重さ
① 平底フラスコにエチルアルコールを入れて温めます。体積はどうなるか観察しましょう。
300mlていどのエチルアルコールをフラスコに入れます。フラスコが転ばない程度に,できるだけ熱湯に近い水を鍋などに入れます。熱湯を使う場合は,鍋がたくさん準備できるので活用できます。
氷水で冷やす場合も,鍋の活用が有効です。
② 温められて体積の増えたアルコールを冷やします。体積は,どうなりますか。
③ 温度によって体積は,変化しました。重さは,変わっていますか。
④ フラスコに水を入れて温めます。体積はふえますか。
フラスコに水を入れて冷やすと,体積はへりますか。
3 気体の体積変化
① フラスコに空気を入れて温めます。体積はどうなりますか。
空気を閉じ込めるのにシャボン液を使います。フラスコをぬらしてシャボン液につけます。
フラスコの口に膜が張ったら,ぬれたストローで空気を吸って膜をおろします。
膜がわれないように気をつけましょう。空気は,水やアルコールよりも膨張します。手であたためただけでも膜は動きます。
② フラスコに空気を入れて冷やします。体積はどうなりますか。
③ 凹んだピンポン玉を,元に戻すにはどうしたらいいでしょうか。
4 固体の体積変化
① 輪をぎりぎりで通る金属球があります。金属球を温めても輪を通りますか。(もとの温度に冷やすと通りますか。)
5 温度による体積変化を実感する。(次のどれかを選びます。)
① 架線とレールの模型を提示して。
電車の線は,夏になると長く延びますか。線路はどうでしょうか。
② 中部横断自動車道路の釜無川に架かる橋の写真を見せて。
自動車道路の橋は,夏になると長く延びるのでしょうか。
③ お酒(水)をとっくりに入れて温めます。お酒の体積は増えるでしょうか。
NaRiKa 科学おもちゃ「小便小僧」 No.S77-1710 価格(消費税総額表示):1,029円
~カタログ(2005年度版)より~
かわいい顔をした陶器の人形に熱湯をかけるとおしっこが噴水のように吹き出します。よく土産物などで見られるこの人形は,熱膨張によって起こる現象を利用しています。人形に熱湯をかけて,体内の空気を膨張させます。その後,水の中に浸すと水が人形の体内に溜まります。水を取り入れた人形に熱湯をかけると,また体内の空気が膨らみ,その膨張によって水を押し出し,おしっこのように水を噴出します。
<セット内容> 材質:陶器 大きさ:約45×70mm ※ロットにより形伏が異なります。
単元の最後か,液体・気体の温度による体積変化の学習の後に使います。
○ 口がひとつしかないこの焼きものに水を入れたいと思います。
問1 この人形を90℃の水に入れるとどうなりますか。
問2 それを10℃の水に入れると,中の気体の体積はどうなりますか。
水が人形の中に入ってきますか。
問3 その人形に90℃の水をかけると,中の気体の体積はどうなりますか。
人形の中の水はどうなりますか。
宿題1 家の人に実験を見せて,そうなる理由を説明しましょう。
① キャップ式のコーヒー缶などを準備します。下から1cmほどのところに小さな穴を上向きに空けます。
② キャップをとり,底から3cmほど水を入れます。
③ 大きめの皿にコーヒー缶を置いて,上から90℃の水をかけます。
④ 勢いよく水が飛び出します。水の飛び出る理由を家の人に説明しましょう。
宿題2 家の人に実験を見せて,そうなる理由を説明しましょう。
お風呂で学校の授業について話をしましょう。
① 500mlのペットボトルに小さな穴を空けます。後は,小便小僧と同じです。
② 穴のあいたペットボトルを風呂に入れるとどうなりますか。
③ 指で穴にふたをして,そのまま冷たい水に入れます。
水の中で指をはなすとどうなりますか。
④ 水の中で十分冷やしたペットボトルの穴を指でふさいだまま,お風呂で十分にあたたまりましょう。もちろんペットボトルもあたたまりましょう。
⑤ 十分あたためたペットボトルを外に出して指をはなしましょう。
ペットボトルの穴の位置は,下の方がいいですね。穴のところまで水が入らないと,水は飛び出しません。
宿題3 お父さん お酒は爛をつけるとたくさん飲めるよ。
お酒をとっくりに入れて温めます。お酒の体積は増えるでしょうか。
お母さんに相談して始めましょう。
① 今日は大サービス,お父さんにお酒をつけてあげる。
② お酒は,ここまで入れます。
③ レンジでチンします。
お酒の体積はふえますか。お酒の重さは増えますか。
宿題4 ガソリンを5000円分入れます。いつ入れても同じ量のガソリンが入りますか。得な時間はありますか。得な季節はありますか。
(ガソリンは,容量で販売します。50リットル購入すると,寒い日と暑い日では寒い日の方がたくさんはいることになります。)
宿題5 空気式温度計を説明しましょう。(温度による気体の体積変化)
1 ペットボトル温度計の作り方
① ペットボトル(280ml)のふたの真ん中にきりで穴を開ける。
プラパイプ(φ3mm)は,四つ目錐でちょうどの径に開けられます。
② プラパイプを穴に通し,底に着く位まで押し込む。穴の大きさをぎりぎりにして,強く押し込む。(ホットボンド等で止める)
③ 色水は普通の水に食紅(赤,緑,黄色など)で色をつける。
④ 色水をペットボトルに1cmくらい注いで,ふたをする。
2 フィルムケースでの作り方
① フィルムケースのふたの真ん中に,プラパイプ(φ3mm)が通る小さな穴を,錐又は目打ちで開ける。
② プラパイプを穴に通し,底に着く位まで押し込む。穴の径をぎりぎりにして,強く押し込む。(ホットボンド等で止める)
③ 色水をフィルムケースに0.5cmくらい注いで,ふたをする。パイプの先端が色水につからないように,フィルムケースを斜めにしてふたをする。
④ 空気が漏れるようであれば,ゼリータイプの瞬間接着剤でパッキンをする。
3 「液体温度計」実験方法
いろいろなもので空気の体積を変化させ液の上下を確認する。
液体も気体と同じように温度によって膨張収縮します。アルコール温度計や水銀温度計は,液体の温度膨張を性質を利用しています。液体は体積変化の割合が小さいのでパイプの径を細くして液面の変化が大きくなるようにしています。(温度計のガラスも温度によって膨張収縮します。でもアルコールや水銀よりも変化の割合が小さいので液面の変化として現れます。)
以上は、「科教協」委員の丸山哲也さんが、「科教協静岡」の第5回「研修交流会」で紹介した内容で、資料を引用し編集しました。(科教協静岡 長谷川静夫)
【関連】 「科教協静岡」第5回「研修交流会」