「静岡・高校理科サークル」3月例会に参加しました。
2010年3月27日(土)午後 アイセル21会議室(静岡市)
【例会での実験・話題】
① ペットボトルロケットを使った簡単な断熱膨張の実験(山内さん)
断熱膨張による霧の発生や温度低下の実験を、ペットボトルロケットで使用したキットを使ってやってみたら、簡単で便利だったということです。 空気入れをペットボトルに接続するジョイントは、売られています。「日本ペットボトルクラフト協会」からは、発射口825円、噴射口367円で入手できます。
また、温度変化の測定には、今までいろいろな工夫がありしたが、今回の小型棒温度計(物理実験の熱容量計で使うタイプ)は使いやすく、十分温度変化が確認できました。
② きくがわ科学少年団での「酸性・アルカリ性の科学」の実験(山内さん)
日常生活から、お酢、ミツヤサイダー、レモンの絞り汁、重曹飽和溶液、石鹸水、石灰乾燥剤(袋から出して水溶液にしたもの)を使って、 リトマス試験紙、万能pH試験紙で調べます。お酢とレモンの絞り汁はなめてみるそうです。(すっぱいのが酸性)
前日に刻んで焼酎といっしょにビニー袋に入れておいたムラサキキャベツを、さらしで絞って液をとります。 また、ウズラの卵ケースをつかって10段階のpH溶液を調整しました。原液としてお酢と、重曹の飽和溶液を配布して、決められた滴数ずつまぜていきます。 そうするとpHが約2.3から8.4の10段階の液ができます。
すでに絶版ですが、子ども向けの絵本「自然のなかの酸とアルカリ」岩波書店(1983)によると、以下の表のようです。
これにムラサキキャベツの液を少しずつ滴下していきます。そうするときれいな色の変化がみられます。
意外だったのは、うまくスポイトが使えない子がいたことです。こどもの手先がどんどんおとろえているのを感じだとのことでした。
【関連】
「酸・アルカリ性の科学」きくがわ科学少年団
③ 植物の葉の孔辺細胞の手作りモデル実験装置(杉山さん)
葉にある気孔は、乾燥すると閉じ湿ると開きます。孔辺細胞は、細胞の一辺の細胞壁が厚いため、細胞の膨張・収縮で細胞がゆがむ(曲がる)ことで、 このはたらきをします。気孔が、水蒸気も含む空気の出入り口あることと、水と相関があることを示したいと、工夫をしたとのことです。
ツイストバルーン(バルーンアートで使われる細長い風船)を使って、孔辺細胞のモデルを作ります。 風船の一辺に、ビニールテープを細く切って、間を空けて貼るのがポイントです。 このようにすると、風船がうまく膨張・収縮することができます。 一方の風船をこのようにして並べてみると、膨らんだときビニールを貼った方が曲がることが良くわかります。
高校化学で出てくる半透膜についての疑問も話題になりました。
④ 観測旅行で写した世界の皆既日食写真から調べたこと(森さん)
たびたび出かけて写した皆既日食の写真で、写真に写ったコロナの形を黒点でわかる太陽の活動の強弱と比べてみたとのことです。 結論的には、明確な相関がわからなくて、残念でした。最近、新聞に「太陽がまもなく冬眠」という記事が載っていました。 日食と太陽が話題になりました。
⑤ 地球深部探査船「ちきゅう」の清水港寄港記念講演会・見学会に参加して(土肥さん)
「ちきゅう」の活動や成果に話題が及びました。東海地震については、歴史的に見て単独では起こらないであろうというのが、最近の研究結果のようです。 数十年程度以内で、南海地震・東南海地震と同時期に起こる。その場合の被害は、東海地震の想定以上になるようです。
⑥ 「ミウラ折り」の実習(長谷川)
NHKの番組「爆問学問」で取り上げていた、宇宙での太陽電池パネルをうまく広げる方法として、三浦公亮氏(宇宙構造工学)が編み出した、 「ミウラ折り」をやってみました。紙の一端を引っぱれば一気に全体を開くことができ、力をかけずに自然と元にもどる折り方です。 宇宙だけでなく、地図などの折り方としても使われるようになりました。
実は、甲虫が折りたたんだ羽や植物の芽から葉が開くときなど、自然界にも存在したとのことです。
文責:科教協静岡 長谷川静夫
担当:静岡・高校理科サークル 篠崎勇